切札勝舞はマジック:ザ・ギャザリングを使いつづける

デュエマやらんかった世界線の切札勝舞 #1巻応援

切札勝舞はマジック:ザ・ギャザリングを使いつづける 松本しげのぶ コーヘー
放浪者

「マジックは子どもにはムズすぎる!デュエマ作ろ!」という当時のウィザーズの判断はまぁ正しいと思いますが、タイアップマンガのキャラが突然別のゲームを始めるのは相当なパワープレイだったと今でも思います。 とはいえ読んでいた頃は「まぁそんなこともあるかな」と思っていつの間にやら受け入れていました。実際周りみんなデュエマ始めたし。子どもって順応性が高いんだな。 しかし大人になって思い返すとあれって結構寂しいイベントだった気がしてきます。友だちと同じゲームで遊べなくなるのってかなりドラスティックなできごとなので…。本作の中でも各キャラそれぞれ笑いを取りながらもその切迫感を訴えてくるので、色んなカードゲームを渡り歩いてきた身としてはちょっと胸にキました。 そう考えると意外と真面目な作品なのかもしれません。しらんけど。 ともあれカードゲーム好きなら間違いなく楽しめるはず。ノリはフザケてますがデュエルはそこそこ真剣に展開されるのもずるい。大体こんな感じっていう画像も貼っときますのでこれで笑った人には読んでほしいですね。

黄昏の買い食い部

二人の東京「食の」心象風景 #1巻応援

黄昏の買い食い部 鈴木小波
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

私はこの作品を電子書籍※1で読んでいますが、驚くのが唐突に現れるカラーページ※2です。 東京の街を二人の女子高生が買い食いして回るお話ですが、食べた物や食べた場所、時間や気候といった思い出が1ページの風景イラストに印象的に表現されていて、それが美しい! 使われている技法が多彩で、内容に合わせた技法や色調が目が楽しい。これはカラーページだけ絵葉書にして欲しくなる! 12ヶ月の時候に沿って、女子高生凸凹コンビが季節の物、ご当地物などを食べ歩きますが、単純に「女子高生物」ではないのも大きな特徴。名前も知らなかった二人の間に『買い食い部』という絆が生まれる、過程と未来を交互に見られるようになっていて、読み進めるほど嬉しくなってきます。 女子高生と東京散歩と美味い物が切り離せないのは『ちづかマップ』や『ぐるぐるてくてく』が証明済み。これらの作品の「美味しい物回」を凝縮したようなお話に、美麗なカラーイラストも付いたおトクな作品。どうぞご賞味あれ! ※1 単行本は『東京黄昏買い食い部』というタイトルです。電子書籍サイトでは『黄昏の買い食い部』で統一のようですので購入に問題はないと思いますが、表紙のタイトルが違っているので紙版が欲しい方のために付記します(2024.4.9追記) ※2 巻中のカラーページは、電子書籍のみのようです。カラーページをご覧になりたい方は電子書籍をお求めください。

銀狼ブラッドボーン

老兵は死なず、戦い続ける

銀狼ブラッドボーン 艮田竜和 雪山しめじ
ANAGUMA
ANAGUMA

『バトルシップ』という映画が大好きなのです。 米軍の新鋭艦でも歯が立たない宇宙人の兵器に、大戦時代の骨董戦艦ミズーリと、その乗組員だった退役軍人のジジイたちが立ち向かう。そして勝つ。これです。歴戦の古兵が現役復帰する展開が無性に好きなあなたにぜひ読んでいただきたい。 最強を誇った吸血鬼ハンター、人類の英雄ハンスもいまや齢70を超えたおじいちゃん。余生をまったり過ごしていましたが新たに現れた人類の脅威を前に、再び立ち上がります。 「かつては最強」「だが今は衰えている」この設定があるおかげでどんな敵を相手にしてもカタルシスと緊張感が続くのが見事で、レベルの高いアクション描写と合わせて説得力抜群。今最もアツいジジイバトルマンガのひとつであることは間違いないです。 少年マンガらしい群像劇も魅力です。ハンスを中心とした人間たちの勢力、かつての仇敵ファウストの率いる吸血鬼陣営、新たな怪物グリム一派。それぞれ以前の因縁を抱えたまま戦いに身を投じていくのですが、ここにドラマが生まれないはずがありましょうか…! 大事なことだから最後に付け加えますが、ダンピールのココウィルちゃんが最高のヒロインをしており、つまり最高のじじロリがあるので、そういった観点からもよろしく頼みます。