ふたりきりの七浜高校水族館部として活動する、小雪と小夏。孤独を埋める存在から、やがてかけがえのない存在として、お互いを思い合うようになっていく。そんなある日、水族館が公開される文化祭を、小雪は風邪で休んでしまう。そして、見舞いに訪れた小夏のイタズラな一言をきっかけに、小夏がかつて口にした、「蛙になれたら」という言葉の真意について、小雪は思いを馳せることになる。ぐるぐると思い悩む時間の中で、お互いを大切な存在と自覚しはじめたふたりは――。電子特別版には、紙書籍版1巻の各店店舗特典イラストを8ページ追加収録!
父と離れ、東京から愛媛に引っ越してきた転校生の小夏。 美人で成績優秀、完璧すぎて近付きづらいと周囲から思われている小雪。 それぞれの孤独を抱えた2人が寄り添い合い、心を通わせていくお話。 寒いほど独りぼっちだった2人が、水族館部でふたりぼっちになる。 お互いの存在が支えになって世界が広がっていくけれど、わたしだけのあなたでなくなってしまうのが寂しい。 傍にいてほしい、寂しい、一緒にいてほしい。 そんな気持ちに気づくまでに、ちゃんと伝えられるまでに、たっぷり時間をかけてしまう不器用な2人が愛おしい。 そんな物語じゃないと井伏鱒二は言うかもしれないけれど、孤独の岩屋を抜け出しても山椒魚と蛙は寄り添い続けられるんだと伝えたい。 光の中で笑い合う2人の姿に涙が止まらなかった。心が洗われる作品。