あらすじ

七浜高校水族館部のふたりきりの部員となった、小雪と小夏。小雪は高嶺の花の優等生として、小夏は都会からの転校生として、異なる孤独を抱え、お互いに惹かれ合っていく。連れ立って町の夏祭りへ出かけたある日、小夏は、以前から気になっていたことを小雪に問いかける。「初めて会ったあのとき、どうしてわたしに声をかけてくれたんですか?」小雪は戸惑いながら、慎重に言葉を紡ぐが、うまくまとまらず、不器用な答えにしかならない。気まずい雰囲気が流れる中、それでも、お互いの距離を確かめ合ったふたりは――?電子特別版には、作者萩埜まことがTwitterで更新中の描き下ろしイラストやコミックを11ページ追加収録!
熱帯魚は雪に焦がれる1【電子特別版】

都会の高校から、海辺の田舎町にある七浜高校へ転校してきた小夏は、周囲にうまくなじめずにいた。そんなとき、七浜高校水族館部のひとり部員である小雪と出会う。お互いが抱える寂しさに惹かれ合ったふたりは――?電子特別版には、作者萩埜まことがTwitterで更新中の描き下ろしイラストやコミックを10ページ追加収録!

熱帯魚は雪に焦がれる2【電子特別版】

海辺の町にある七浜高校に転校し、「水族館部」に入部した小夏。水族館部のひとり部員だった小雪との間には、優しい時間が流れる。お互いが抱える寂しさに共鳴し、しだいに惹かれ合ったふたりは――。電子特別版には、作者萩埜まことがTwitterで更新中の描き下ろしイラストやコミックを11ページ追加収録!

熱帯魚は雪に焦がれる3【電子特別版】

七浜高校水族館部のふたりきりの部員となった、小雪と小夏。小雪は高嶺の花の優等生として、小夏は都会からの転校生として、異なる孤独を抱え、お互いに惹かれ合っていく。連れ立って町の夏祭りへ出かけたある日、小夏は、以前から気になっていたことを小雪に問いかける。「初めて会ったあのとき、どうしてわたしに声をかけてくれたんですか?」小雪は戸惑いながら、慎重に言葉を紡ぐが、うまくまとまらず、不器用な答えにしかならない。気まずい雰囲気が流れる中、それでも、お互いの距離を確かめ合ったふたりは――?電子特別版には、作者萩埜まことがTwitterで更新中の描き下ろしイラストやコミックを11ページ追加収録!

熱帯魚は雪に焦がれる4【電子特別版】

ふたりきりの七浜高校水族館部として活動する、小雪と小夏。孤独を埋める存在から、やがてかけがえのない存在として、お互いを思い合うようになっていく。そんなある日、水族館が公開される文化祭を、小雪は風邪で休んでしまう。そして、見舞いに訪れた小夏のイタズラな一言をきっかけに、小夏がかつて口にした、「蛙になれたら」という言葉の真意について、小雪は思いを馳せることになる。ぐるぐると思い悩む時間の中で、お互いを大切な存在と自覚しはじめたふたりは――。電子特別版には、紙書籍版1巻の各店店舗特典イラストを8ページ追加収録!

熱帯魚は雪に焦がれる5【電子特別版】

クリスマスの水族館公開で、サメのショーに成功し、思わず飛び跳ねた小雪は、素の自分を見られたことに動揺してその場を走り去ってしまう。小夏は、小雪の家族は、そんな小雪を当たり前のように受け入れる――。電子特別版には、紙書籍版2巻の各店店舗特典イラストを8ページ追加収録!

熱帯魚は雪に焦がれる6【電子特別版】

県外への進学に不安を抱く小雪は、小夏の友人・楓と親しくなり、悩みを吐き出す。一方、それを知らない小夏は、ふたりが仲よさげにしているところに遭遇してしまう。動揺を隠すように、ふたりに接する小夏だが――。電子特別版には、紙書籍版3巻の各店店舗特典イラストを9ページ追加収録!

熱帯魚は雪に焦がれる7【電子特別版】

七浜高校水族館部のふたりだけの部員・小雪と小夏。小夏は、ふたりをつないでいたものが「孤独」だと感じていた。そして、徐々に変わりゆく小雪との絆が薄れることに怯えてもいた。ある日、小夏はついにその感情を爆発させてしまう。小雪は、そんな小夏に真正面から向き合おうと決心する――。気持ちを吐き出し、ぶつけ、大切な存在をたしかめ合ったふたりは――。電子特別版には、紙書籍版4巻の各店店舗特典イラストを5ページ追加収録!

熱帯魚は雪に焦がれる8【電子特別版】

七浜高校水族館部のふたりきりの部員だった小雪と小夏。この春新入部員が入り、部は活気を帯びつつあった。やがて夏が近付き、小雪は、いよいよ本格的な受験勉強をはじめることになる。意を決した小雪は、月明かりの下、小夏を海辺に誘う。小雪のある決断を聞いた小夏の願いは――。迫る卒業、残されたふたりの時間、今まで以上に、かけがえのない日々。止まらない時を刻み、暗闇から光を見付け出したふたりは――。電子特別版には、紙書籍版5巻の各店店舗特典イラストを9ページ追加収録!

熱帯魚は雪に焦がれる9【電子特別版】

七浜高校水族館部で出会った小雪と小夏。かつて、ふたりを繋いだ『山椒魚』は変わりゆく日々の中でも小雪と小夏にとって確かに変わらない特別なものになっていた。小雪の卒業が少しずつ近づく秋、七浜高校で文化祭が開催される。互いの想いを答え合わせするかのように、小夏は最後の疑問を確かめるべく、もう一度勇気を振り絞る。ふたりの物語はそれぞれの未来へと歩み始め、そして――。大ヒット、ガールズシップ・ストーリーがついに完結!★電子特別版には、紙書籍版6~8巻の各書店特典イラストなど おまけ要素を追加収録しています!

熱帯魚は雪に焦がれる

寄り添う孤独と瀬戸内の光 #完結応援

熱帯魚は雪に焦がれる 萩埜まこと
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

愛媛県大洲市長浜を舞台とするこの作品は、井伏鱒二の小説『山椒魚』をモチーフとした作品でもある。 小説の〈山椒魚と蛙〉となぞらえられる、二人の女子高生。閉じ込められるのは、孤独という名の岩屋。そこは暗く冷たいが、二人の外に広がる光景は眩しい。 穏やかな瀬戸内海は、いつでも心を癒してくれる。高校の水族館部の魚や水生動物は愛らしい。そんな光景の中で、孤独を抱える二人はお互いの孤独を知り、不器用に身を寄せ、言葉を交わす。 寂しいという感情を持つ人が「寂しい」と人に告げる事の困難さが描かれ、これは私の物語だ、と思わされる。 しかし私は、その先の光景を知らない。 二人が「寂しい」を告げた、その先の光景はとてつもない煌めきに満ちていて、私は己が体験した事の無いそれを、少しの寂しさと、大きな喜びで眺める。 他にも所謂「優等生」が抱く重圧や孤独について、私の実感と非常に近い物があり、これが描かれた事で私も少し救われた気がした。 二人の関係性に恋愛だの友情だの、区分をつけようとすると最後まで混乱するだろう。この二人はこの形なのだ。そんな事よりも、暗い孤独に共鳴する全ての人に柔らかな光を見せてくれるこの物語を、そのまま丁寧に享受したい。