あらすじ信州の人里離れた病院で、異常に包まれた生活を送る今日子。意識は正常を取り戻してきたが、大量に投与された薬品は胃を蝕み、病院での生活は限界に来ていた。今日子からの手紙を受け取った次郎は、彼女を取り戻すために信州の病院へ向かう。再び、二人のあの生活が始まるのだろうか…。
「愛はいつもいくつかの過ちに満たされている。もし愛が美しいものなら、それは男と女が犯すこの過ちの美しさにほかならぬであろう。そして愛がいつも涙で終るものなら、それは愛がもともと涙の棲家だからだ。」 冒頭から哲学的な文章で始まるこの作品。読んでいくうちに不思議と引き込まれる上村ワールド。 私はこの作品で初めて上村一夫作品を読みましたが、一つ読むだけでどっぷりハマること間違いなし。この絵と話のバランス、この人の漫画は別格です。 自分を確立させるために必死に主張する次郎と今日子の愛の物語。 同棲するということと、男と女の境界。草食系男子にはないであろう古い形の男性像ではありますが、親近感が持てます。 上村一夫の世界への第一歩としてもオススメです。