あらすじ鳥取の実家に帰省した今日子にもはや東京へ戻る気はなく、ある日、次郎の下へ別離を告げる電話をかける。いてもたってもいられなくなった次郎は、仕事を投げ出して鳥取に向かう。寒空の下、公園で話し合う二人だが、今日子の決意は固く…。二人の同棲生活はこのまま破局を迎えてしまうのか?その後の二人を追った番外編まで完全収録した、感動の完結篇!
「愛はいつもいくつかの過ちに満たされている。もし愛が美しいものなら、それは男と女が犯すこの過ちの美しさにほかならぬであろう。そして愛がいつも涙で終るものなら、それは愛がもともと涙の棲家だからだ。」 冒頭から哲学的な文章で始まるこの作品。読んでいくうちに不思議と引き込まれる上村ワールド。 私はこの作品で初めて上村一夫作品を読みましたが、一つ読むだけでどっぷりハマること間違いなし。この絵と話のバランス、この人の漫画は別格です。 自分を確立させるために必死に主張する次郎と今日子の愛の物語。 同棲するということと、男と女の境界。草食系男子にはないであろう古い形の男性像ではありますが、親近感が持てます。 上村一夫の世界への第一歩としてもオススメです。