あらすじ憧れの出版社に転職した今日子。次郎も大物作家のエッセイの挿絵を任されることになった。二人はフランス料理のレストランで祝杯を挙げる。もっとよく知りたいと思って暮らし始めたのに、気がつけばだんだんわからないことのほうが多くなっていった二人。「愛している」「愛されている」の実感が二人を静かに包み込む…。
「愛はいつもいくつかの過ちに満たされている。もし愛が美しいものなら、それは男と女が犯すこの過ちの美しさにほかならぬであろう。そして愛がいつも涙で終るものなら、それは愛がもともと涙の棲家だからだ。」 冒頭から哲学的な文章で始まるこの作品。読んでいくうちに不思議と引き込まれる上村ワールド。 私はこの作品で初めて上村一夫作品を読みましたが、一つ読むだけでどっぷりハマること間違いなし。この絵と話のバランス、この人の漫画は別格です。 自分を確立させるために必死に主張する次郎と今日子の愛の物語。 同棲するということと、男と女の境界。草食系男子にはないであろう古い形の男性像ではありますが、親近感が持てます。 上村一夫の世界への第一歩としてもオススメです。