あらすじ

人はなぜ神を求めるのか。約一万二千年前、人が神と接することのできた古代の日本。ある村に暮らす少年・鷹野(たかや)は、捨てられた赤子を拾った。赤子はとおこと名づけられ鷹野の妹として育てられた。とおこが七歳になったある日、村は邪悪な威神(いしん)の徒党に襲われる。生き残ったのは鷹野ととおこ、そして青年・青比古の3人。彼らは威神と対立する、亞神(あしん)の信奉者たちと出会い…――SF大河ロマン堂々開幕!!
イティハーサ(1)

人はなぜ神を求めるのか。約一万二千年前、人が神と接することのできた古代の日本。ある村に暮らす少年・鷹野(たかや)は、捨てられた赤子を拾った。赤子はとおこと名づけられ鷹野の妹として育てられた。とおこが七歳になったある日、村は邪悪な威神(いしん)の徒党に襲われる。生き残ったのは鷹野ととおこ、そして青年・青比古の3人。彼らは威神と対立する、亞神(あしん)の信奉者たちと出会い…――SF大河ロマン堂々開幕!!

イティハーサ(2)

不死身の威神、亞神は歳を取ることもないし、食べ物さえ必要としない。神々同士が戦うなか、桂たち亞神の徒は正法神・律尊の結界に守られながら戦っていた。威神が目に見えぬ神々の知識を欲しているなら、鷹野たちはかっこうの餌食となる。だが、人を殺めることをしない青比古は、彼らと行動をともにするのを嫌がるが、鷹野はとおこを守ることのできる力が欲しいという。また、青比古は、目に見えぬ神々が授けた「剣」の意味に疑問を持つ……。

イティハーサ(3)

離れ威神に操られた狐摩(こま)たちにいたぶられた鷹夜と崖から落ちた青比古は深手の重症を負った。とおこの真言告で回復した鷹野たちは、亞神の信奉者たちと旅を続け、古き神の知恵を伝える隠者・弥仙(みせん)に出会った。とおこの過去と、その分身の存在が、弥仙の力で明らかになり、彼女は衝撃を受ける!

イティハーサ(4)

威神側優勢に進む戦いのなか、とおこは互いの運命を左右する己の分身・よおことついに相まみえることに!!銀閣神・鬼幽(きゆう)が率いる威神の軍勢との戦いのさなか、とおこはよおこの手にかかって命を落とす。絶望する鷹野だが、よおこの心がとおこに取って代わられていることを知り、いったん彼女と別れることを選び、青比古たちと合流することにした。

イティハーサ(5)

イサナを目指していた青比古たちのもとに、亞神・清良の光の導きが灯る。そこで青比古たちは行動を別にしていたとおこの死、仲間たちの死を知るが、清良はとおこと鷹野の波長(ヒビキ)を感じるという……。彼らを追う威神の軍勢。その中には、亞神を裏切り、威神の戎士となった一狼太の姿があった。間近に迫る威神の軍勢に対抗すべく、青比古は陰石(かげいし)の真言告を用いてこれを迎え撃つ!

イティハーサ(6)

陰石の真言告を使ったことで力つきて倒れてしまった青比古。一方、鷹野は背中にできたこぶが激痛をともなって割れ、翼が生えてきた。彼は特異な姿を特徴に持つ一族・真魔那(ママナ)の血を引く者だったのだ!そして、律尊(りつそん)から神名(カムナ)を授けられた鷹野は、桂と火夷(かい)とともに不二山(フジサン)のふもとにあるという桃源郷を目指して旅に出ることにした。

イティハーサ(7)

神鬼輪(じんきりん)の力で人を殺してしまったとおこは絶望してしまう。そんなとおこのもとへ、夜チ王(やちおう)が姿を現わした。「神鬼輪をはずしてほしい」と懇願するとおこに、夜チ王は不思議な言葉を残して消えた。その後、自らの心を閉ざし眠り続けるとおこは、青比古によって心を開かれ、鬼幽の一軍とともに不二へ向かうことを決意する!

イティハーサ(8)

不二へ向かって旅立った鷹野、桂、火夷は吹雪の中、ある邑に宿を求めることにした。その邑に向かう途中、邑人たちにいたぶられている少女・綏美亜(たみあ)と出会う。邑を襲わんとしていた威神の徒と戦った鷹野は、なんと威神を滅ぼしてしまう!人には斬ることのできない威神を滅ぼした鷹野……。また、綏美亜もまた鷹野と同じく真魔那であり、父親とふたり、不二を目指していたのだった。

イティハーサ(9)

人を殺めることに心を痛める鷹野……。そして、鷹野は夜チ王に追われていた明等神(めいらしん)・香夜(かぐや)を救った。彼女は、不二の里を統べる普善神(ふぜんしん)・天音(あまね)のもとに身を寄せている亞神であった。鷹野は、案内を申し出た香夜とともに不二へ向かうためにいったん桂たちと別れ、道を急ぐことに決めた。

イティハーサ(10)

桂、火夷、綏美亜と別れを惜しみ、鷹野がたどりついた不二山のふもとには、立ち入る者に試練を与えるという幻霧の森が広がっていた。一方、青比古はとおこにきわめて危険な力を持つ、「陰石の本当の真言告」を教えることにした。また、同じように不二をめざす鬼幽の麾下には、その命によって、続々と威神が集結しつつあった。

イティハーサ(11)

幻霧の森に分け入った鷹野は、とおこの形をしたまぼろしから斬りつけられる。鷹野は反撃できず、深手を負わされつつ不二の里にたどりつく。里で鷹野は、普善神・天音と会い、空子都(クスト)という真魔那から、威神の戎士を斬ることを命ぜられる。その頃、桂たちは不二山を近くに仰ぎみる海岸で旅の疲れをいやしていた。そこへ鬼幽の戎士たちが現われ、争いが起こるなか、桂は青比古たちと、ついに運命の再会を果たすのだが――!?

イティハーサ(12)

目に見えぬ神々の聖地・永久蛇(トワダ)にいた律神のもとに、数神の威神がやってきて戦いを挑んだものの、ちりと消えた。ここでは亞神も威神の等しくちりになる。「なぜ自分だけがちりにならないのか」、問いかける律尊……。一方、普善神・天音のもとで理想の世界をつくろうとする空子都に暗示をかけられた鷹野は、威神の戎士を斬るためだけの日々を送っていた。

イティハーサ(13)

幻霧の森を越えてやってきたとおこは、彼女のことを思い出せない鷹野を見て深い悲しみに陥るが、屈することのない彼女の行動は、すべての人の心を動かしてゆく。だが、空子都だけはとおこを危険な存在だと主張し続ける。そんなとおこのもとに、夜チ王がやって来る。そして、とおこに力の強い陰石を与えた。そして夜チ王は言う。「じき、時が満ちる…もしもう一度会うことになるのならその時は共に永久蛇へ…」

イティハーサ(14)

鬼幽にとおこの名を問われて気を失った鷹野は、そのまま海へと落ちた。海の者となった綏美亜に助けられた鷹野を、空子都は引き離すように連れ去った。そして、「わたしが戻るまで幻霧の森に近づくな」と暗示をかけた。心の底から鷹野の名を叫ぶとおこ。その呼びかけに応え、運命がふたりを引き寄せた……!!

イティハーサ(15)

空子都に、「とおことともに不二を去る」と告げた鷹野。威神と亞神――鬼幽と天音、最後の戦いの幕が切って落とされた!!……人はどこから来てどこへゆくのか、なぜ世界はこのような形なのか、大いなる謎の答えが明らかになるSF大河ロマン、感動の終焉!(電子書籍版あとがき収録)