あらすじ不二へ向かって旅立った鷹野、桂、火夷は吹雪の中、ある邑に宿を求めることにした。その邑に向かう途中、邑人たちにいたぶられている少女・綏美亜(たみあ)と出会う。邑を襲わんとしていた威神の徒と戦った鷹野は、なんと威神を滅ぼしてしまう!人には斬ることのできない威神を滅ぼした鷹野……。また、綏美亜もまた鷹野と同じく真魔那であり、父親とふたり、不二を目指していたのだった。
あとがきで言及されている読者からの感想にもある通り、読み終わった後すこし放心状態になるくらい重厚な作品。 設定が複雑で説明するのは難しいのだけど、ストーリーを追う分には混乱しない。「目に見える神々」と「目に見えぬ神々」がいるのがすごく面白いし、重要な意味を持っている。 性別も種も善悪も超越したキャラクター達が出てくるので、今読んでも全く問題ない。というか今こそリアリティを持って響く描写が沢山ある。多様性とはこういうことだと思う。 消したい過去が消せて、不安もない生活は本当に幸せなのか。何故この世界から争いがなくならないのか。宗教的な世界観に科学の視点を取り込みつつ整合的にまとめあげているのが素晴らしい。また時間をおいて再読したい。