あらすじ幻霧の森に分け入った鷹野は、とおこの形をしたまぼろしから斬りつけられる。鷹野は反撃できず、深手を負わされつつ不二の里にたどりつく。里で鷹野は、普善神・天音と会い、空子都(クスト)という真魔那から、威神の戎士を斬ることを命ぜられる。その頃、桂たちは不二山を近くに仰ぎみる海岸で旅の疲れをいやしていた。そこへ鬼幽の戎士たちが現われ、争いが起こるなか、桂は青比古たちと、ついに運命の再会を果たすのだが――!?
あとがきで言及されている読者からの感想にもある通り、読み終わった後すこし放心状態になるくらい重厚な作品。 設定が複雑で説明するのは難しいのだけど、ストーリーを追う分には混乱しない。「目に見える神々」と「目に見えぬ神々」がいるのがすごく面白いし、重要な意味を持っている。 性別も種も善悪も超越したキャラクター達が出てくるので、今読んでも全く問題ない。というか今こそリアリティを持って響く描写が沢山ある。多様性とはこういうことだと思う。 消したい過去が消せて、不安もない生活は本当に幸せなのか。何故この世界から争いがなくならないのか。宗教的な世界観に科学の視点を取り込みつつ整合的にまとめあげているのが素晴らしい。また時間をおいて再読したい。