あらすじ鬼幽にとおこの名を問われて気を失った鷹野は、そのまま海へと落ちた。海の者となった綏美亜に助けられた鷹野を、空子都は引き離すように連れ去った。そして、「わたしが戻るまで幻霧の森に近づくな」と暗示をかけた。心の底から鷹野の名を叫ぶとおこ。その呼びかけに応え、運命がふたりを引き寄せた……!!
あとがきで言及されている読者からの感想にもある通り、読み終わった後すこし放心状態になるくらい重厚な作品。 設定が複雑で説明するのは難しいのだけど、ストーリーを追う分には混乱しない。「目に見える神々」と「目に見えぬ神々」がいるのがすごく面白いし、重要な意味を持っている。 性別も種も善悪も超越したキャラクター達が出てくるので、今読んでも全く問題ない。というか今こそリアリティを持って響く描写が沢山ある。多様性とはこういうことだと思う。 消したい過去が消せて、不安もない生活は本当に幸せなのか。何故この世界から争いがなくならないのか。宗教的な世界観に科学の視点を取り込みつつ整合的にまとめあげているのが素晴らしい。また時間をおいて再読したい。