あらすじ陰石の真言告を使ったことで力つきて倒れてしまった青比古。一方、鷹野は背中にできたこぶが激痛をともなって割れ、翼が生えてきた。彼は特異な姿を特徴に持つ一族・真魔那(ママナ)の血を引く者だったのだ!そして、律尊(りつそん)から神名(カムナ)を授けられた鷹野は、桂と火夷(かい)とともに不二山(フジサン)のふもとにあるという桃源郷を目指して旅に出ることにした。
あとがきで言及されている読者からの感想にもある通り、読み終わった後すこし放心状態になるくらい重厚な作品。 設定が複雑で説明するのは難しいのだけど、ストーリーを追う分には混乱しない。「目に見える神々」と「目に見えぬ神々」がいるのがすごく面白いし、重要な意味を持っている。 性別も種も善悪も超越したキャラクター達が出てくるので、今読んでも全く問題ない。というか今こそリアリティを持って響く描写が沢山ある。多様性とはこういうことだと思う。 消したい過去が消せて、不安もない生活は本当に幸せなのか。何故この世界から争いがなくならないのか。宗教的な世界観に科学の視点を取り込みつつ整合的にまとめあげているのが素晴らしい。また時間をおいて再読したい。