あらすじイスラエル軍とアラブ連合軍による中東戦争は、西欧諸国も巻き込み泥沼化していた。その裏に伸びる魔の手…ブラック・ゴースト団を叩くため、中東に向かったサイボーグ戦士たちの前に、恐怖の砂漠が広がる!巨大なアリ地獄や巨大サソリの襲撃、そして、モーゼと名乗る謎の男。彼の告げる神の警告とは……!?「中東編」に続き、滅亡の危機に瀕した未来から現代への移住を試みる未来人たちとの対立を描いた「移民編」も収録!
言わずも知れた石ノ森章太郎の代表作 作品内に散りばめられた戦闘描写、コマ割りは50年経った今でも全く古臭さを感じさせません。特に009が使用する加速装置の演出は本当にカッコいいです。 そんな今作のストーリーは誰もが知っているとは思いますが、敵組織(ブラックゴースト)に改造された身寄りのない人間たち9人が組織に反旗を翻すという仮面ライダーなどとも似た王道の少年漫画的ストーリーです。 しかし、石ノ森のすごいところはサイボーグをカッコいいものとして捉えるだけではなく悲哀を抱えた悲しい人間としても捉えたところです。 そのキャラ造形を反戦のテーマと重ねることでストーリーに一層の深みを与えています。 特に2巻の0013との戦い、6巻のラストには戦争経験者としての石ノ森のメッセージが読み取れると思います。 さらに、後の24年組と呼ばれる竹宮恵子や萩尾望都のキャラにもつながる009(ジョー)の悲しみを抱えたウェットな少年像も大きな魅力の1つです。 後の少年漫画的演出とストーリーそして少女漫画的キャラ造形のベースとなった大傑作です。