あらすじ米・ソの宇宙開発競争が、日増しに激しさを加えていた時代。敵国を攻撃できるミサイルを満載した「爆弾衛星」の計画などが、リアルに語られていた。そんな中、「世界征服」の野望を抱く男が一人。彼が率いていたのが「黒い幽霊(ブラック・ゴースト)団」である。しかし、邪魔者が現れた。彼を裏切って逃げ出した、ギルモア博士と9人のサイボーグ戦士たちである。彼等を抹殺するために、次々と刺客が放たれる……!!
言わずも知れた石ノ森章太郎の代表作 作品内に散りばめられた戦闘描写、コマ割りは50年経った今でも全く古臭さを感じさせません。特に009が使用する加速装置の演出は本当にカッコいいです。 そんな今作のストーリーは誰もが知っているとは思いますが、敵組織(ブラックゴースト)に改造された身寄りのない人間たち9人が組織に反旗を翻すという仮面ライダーなどとも似た王道の少年漫画的ストーリーです。 しかし、石ノ森のすごいところはサイボーグをカッコいいものとして捉えるだけではなく悲哀を抱えた悲しい人間としても捉えたところです。 そのキャラ造形を反戦のテーマと重ねることでストーリーに一層の深みを与えています。 特に2巻の0013との戦い、6巻のラストには戦争経験者としての石ノ森のメッセージが読み取れると思います。 さらに、後の24年組と呼ばれる竹宮恵子や萩尾望都のキャラにもつながる009(ジョー)の悲しみを抱えたウェットな少年像も大きな魅力の1つです。 後の少年漫画的演出とストーリーそして少女漫画的キャラ造形のベースとなった大傑作です。