あらすじドイツ・ライン川。美しい歌声で船乗りたちを惑わして水底へ沈めたという魔女・ローレライ伝説の残る岩。その近くを通りかかったハインリヒ(004)は、不思議な歌声を聴く。歌声に乗って現れた、馬に乗る謎の騎士が、彼の目の前で村人の一人を殺害し……!?哀しみの過去に縛られた復讐譚「ローレライの歌編」のほか、脅威に満ちた古代科学の海底都市にジョー(009)が遭遇する「海の底編」も収録!
言わずも知れた石ノ森章太郎の代表作 作品内に散りばめられた戦闘描写、コマ割りは50年経った今でも全く古臭さを感じさせません。特に009が使用する加速装置の演出は本当にカッコいいです。 そんな今作のストーリーは誰もが知っているとは思いますが、敵組織(ブラックゴースト)に改造された身寄りのない人間たち9人が組織に反旗を翻すという仮面ライダーなどとも似た王道の少年漫画的ストーリーです。 しかし、石ノ森のすごいところはサイボーグをカッコいいものとして捉えるだけではなく悲哀を抱えた悲しい人間としても捉えたところです。 そのキャラ造形を反戦のテーマと重ねることでストーリーに一層の深みを与えています。 特に2巻の0013との戦い、6巻のラストには戦争経験者としての石ノ森のメッセージが読み取れると思います。 さらに、後の24年組と呼ばれる竹宮恵子や萩尾望都のキャラにもつながる009(ジョー)の悲しみを抱えたウェットな少年像も大きな魅力の1つです。 後の少年漫画的演出とストーリーそして少女漫画的キャラ造形のベースとなった大傑作です。