あらすじかつて“時間移民”を企てた者達がいた。サイボーグ戦士達との戦いの末、移住を断念した「移民団」は、歴史に影響を及ぼさないよう太古の地球に向けて旅立った。しかし、時空間移動中の事故により、彼等は時間漂流民になっていたのだ。そして、彼等の中から「脱出」を求める一派が生まれ、ある計画を進め始める。それは人類の歴史を変える危険を孕んでいた……!!著者の死により最後の連載となった「時空間漂流民編」収録!
言わずも知れた石ノ森章太郎の代表作 作品内に散りばめられた戦闘描写、コマ割りは50年経った今でも全く古臭さを感じさせません。特に009が使用する加速装置の演出は本当にカッコいいです。 そんな今作のストーリーは誰もが知っているとは思いますが、敵組織(ブラックゴースト)に改造された身寄りのない人間たち9人が組織に反旗を翻すという仮面ライダーなどとも似た王道の少年漫画的ストーリーです。 しかし、石ノ森のすごいところはサイボーグをカッコいいものとして捉えるだけではなく悲哀を抱えた悲しい人間としても捉えたところです。 そのキャラ造形を反戦のテーマと重ねることでストーリーに一層の深みを与えています。 特に2巻の0013との戦い、6巻のラストには戦争経験者としての石ノ森のメッセージが読み取れると思います。 さらに、後の24年組と呼ばれる竹宮恵子や萩尾望都のキャラにもつながる009(ジョー)の悲しみを抱えたウェットな少年像も大きな魅力の1つです。 後の少年漫画的演出とストーリーそして少女漫画的キャラ造形のベースとなった大傑作です。