あらすじ季節はずれの鮎が大量に釣れた冬のある日、三平(さんぺい)が家に帰ってきたら、一平(いっぺい)じいちゃんが、竿竹と矯(た)め木をにぎりしめたまま眠るように死んでいた。突然の死を信じられない三平。周囲にはいつしか釣り仲間が集まり、釣友葬を執り行うことが決まった。しかし、準備の進む中、一番近くにいて欲しい魚紳(ぎょしん)の姿がない。泣けない三平を気遣う周囲の大人たち。そして葬儀がはじまった――。(※収録されている技術や環境に関しての表記は、作品発表当時のものをそのまま掲載しております。)
釣りへの愛に溢れた名作。 この漫画を支えているものの一つが、美しい風景描写だと思います。 緻密で透明感があり、いかにも「漫画」なキャラとの対比が際立っています。 直接、原画を拝見したことがありますが、雑誌で見るよりも数段美しく、芸術的で惚れ惚れしました。 漫画家さんが背景を描くときのお手本として「釣りキチ三平」から学んでいると聞いたことがあります。そういう意味では、矢口高雄先生の絵はこの先も絶えず影響を与え続けて行くのだと思います。 ちなみに昭和の漫画事情と言いますか、タイトルのキチはキチ○○の意味として堂々と使われています。今だとアウトな表現なので、これだけで作品が誤解されたり敬遠されてしまうことがないよう願っています。