あらすじ

この世の片隅で生きる女が出遭ったのは…鬼 江戸末期、下総の地で父とふたり生きてきたヌイ。ある時、父が無実の罪で処刑され、それ以来ひとりになった。名主の家の下働きをするヌイの前に現れたのは…“鬼”!? 表題作「鬼の星家」。売れっ子の小説家が、昔の恋人と再会し知ってしまったのは、彼女を巡る不穏な事件。彼女と距離を置こうとするが、それを察知した彼女は予想外の行動に出て……「星影はるかに」を収録!
黄昏流星群 1巻

老人にだって恋心がある。人生の黄昏時にだって激しく輝く愛がある。弘兼憲史が、そんなコミックの未踏の領域に渾身の力で挑む。52歳の盛本芳春は、入社以来、30年間わき目もふらず仕事に励み、現在は銀行支店長の座にいる。会社人間で、本社への復帰を夢見ていたが、ある日系列会社への出向を打診され、呆然。自分の人生に疑問を感じて、ヤケ気味にスイス・マッターホルンへの旅行を決意。そこで優雅で上品な妙齢の日本人女性、誠子と知り合う。

黄昏流星群 2巻

群馬県の市立博物館に学芸員として勤務する国分みゆきは、仕事上の必要から、本を探しにやってきた神田古書街で、現在はリタイアした73歳の建築家、北村修一と知り合う。友達のアパートに泊まるつもりだったが、都合が悪いと断わられ、やむなく鎌倉にある北村の家に一泊。その後、鎌倉で一緒に食事をしたりと、みゆきは同年代の男性にはない魅力を北村に感じはじめていた。

黄昏流星群 3巻

徳田の店に20代のころから大ファンだった渚エリカが、偶然にラーメンを食べにきた。以来、何度も店を訪れ、彼女のアイデアから「渚ラーメン」という人気商品も生まれた。しかも酒のうえのこととはいえ、一度だけ体の関係も……。エリカのためならなんでもでする決心を固めた徳田は、彼女が犯してしまった殺人の罪をかぶり服役する。出所後、徳田は行方不明のエリカを捜し出すが……。

黄昏流星群 4巻

麗子の店「ラ・メール」に初老の男がやって来る。忘れ物から、その男は『東大の鈴木教授』だとわかる。互いに一目惚れした鈴木と麗子は逢瀬を重ねていくのだった。ある日麗子は、鈴木から、みゆきと二人で預金を預けている金融会社についてのよくない評判を聞いて、通帳と印鑑を預けてしまう。その後、店の常連の刑事の口から、鈴木が『結婚詐欺師常習犯の滝口』であると聞き、麗子は泣き出してしまう。

黄昏流星群 5巻

砂川は、5年間の海外勤務中に妻を交通事故で亡くし、現在、息子と2人暮らし。ある日、今まで一度も出席したことのない高校の同窓会に参加した。彼の前に、高校時代付き合っていた小倉美智子が現れた。2人は同窓会を抜け出す。彼女も夫と離婚し、息子と2人暮らし。話が盛り上がった砂川と美智子は、お酒を飲んだあとホテルに向かうが…。

黄昏流星群 6巻

50代の超売れっ子作家・漆原は、最近腰の調子が悪い。セックスも3年前からできなくなっている。そして今日、そのことを理由に恋人にフラれた…。すっかり意気消沈した漆原。そんな彼の元に、横山ひとみという女性からファンレターが届く。その手紙には、あたかも以前自分と彼女が関係していたようなことが書かれているが、漆原には全く覚えがない。不審に思った漆原は、彼女に会いに行くことにする…。

黄昏流星群 7巻

大学生の吉村和良は、父に反発し、学校も行かず、バイトもせず、ホステスのユカリと一緒に暮らしていた。ある日、和良は暇つぶしに女装したところ、ユカリも本物の女性と間違えるほどに変身した。ユカリの勧めで、ホステスとして働くが、お店になんと和良の父がやって来る。さらに、何も知らない父から、和良は店外デートを申し込まれてしまうが…!?

黄昏流星群 8巻

寺坂泰人は、貿易会社に勤務する会社員。彼は29歳の時、7年間付き合った恋人・澄子と別れる時、ある約束をした。その約束とは7年ごとの七夕の日に会って、ベッドを共にするというものだった。その約束どおり、二人は別れてから7年後、14年後の2回、会うことができたが、3回目の21年後の七夕の日に澄子は現れなかった。しかし、待ち合わせのレストランにいたナツミという若い女性と知り合って……。

黄昏流星群(9)

安藤ひとみは、テレビにひっぱりだこの経済アナリスト。都会で華々しく生活する彼女だが、テレビ局のプロデューサーと不倫していた。ある日、母親の七回忌で故郷に帰ったひとみは、突然気分が悪くなってしまい……。

黄昏流星群(10)

夫は単身赴任、息子は留学しているため、ひとりで気楽な生活を送っている主婦さとみ。友人の加寿子に頼まれ、彼女の不倫旅行のカモフラージュ役のため一緒に出かけたアメリカで、さとみは鈴木実と名乗るカメラマンと出会う。

黄昏流星群(11)

若手マジシャン・森尾英介は、小料理屋のママ・藤田奈々枝から凄腕の素人マジシャン・真崎茂の話を聞かされる。だが、真崎は強姦されそうになった奈々枝を助けようとして人を殺し、網走刑務所に入っていた。そんな真崎に興味を持った森尾は早速、網走に飛ぶ…。

黄昏流星群(12)

2017年の日本。老人人口が増え、長生きは罪悪だという考えが世の中に広まっていた。そんな中、70歳の男性・塚原は快楽の中で往生できる薬・パライソの噂を聞き、購入する。その直後、塚原は同じく薬を購入した見知らぬ女性から声をかけられる…。

黄昏流星群(13)

35年連れ添った夫・大造が亡くなる5日前にふと発した「ありがとう、小鴨さん」という言葉。大造の亡き後、妻・光子は、名前に聞き覚えのないその人物がだれなのか、ずっと引っかかっていた。そんなある日、光子は息子に勧められるまま、ひとりで京都へ旅することに…。

黄昏流星群(14)

警察官を退官した梶山稔は、今は息子夫婦のもとで静かな余生を送っている。ある日、保険金目当ての尊属殺人のニュースを耳にした梶山は、「母親が我が子を殺すはずがない」という理由で事故と判断された、30年前のある事件を思い出す。あれは本当に事故だったのか…。

黄昏流星群(15)

宮本武蔵にあこがれ、武蔵の故郷・岡山にやってきた真野あさみ。職場の上司と不倫の関係にあった彼女は、妻に浮気がばれて別れ話を持ち出してきた男に愛想を尽かし、武蔵ひと筋に生きることを決めたのだった。武蔵の墓を訪れたあさみは、足を滑らせてガケから転落してしまい…。

黄昏流星群(16)

かつてコーチとして女子マラソンの金メダリストを育てた男・末長は、現在では酒とギャンブルで身を持ち崩し、人生のどんづまりまできていた。そんな末長に、低迷する女子長距離界を憂う大賀化成陸上部が声をかけるが、彼は相手にしようとしない。

黄昏流星群(17)

元外交官で、超エリート人生を歩んできた片岡は、70歳になり、家庭の事情から老人ホームに入ることになった。片岡が選んだのは、中学生のころまで住んでいた地方都市にある庶民的なホーム。そこには国民学校時代のマドンナ・富田静枝も入園していた。

黄昏流星群(18)

15年前、飛行機事故で突然に夫を失った入間川節子。以来、独身を貫き続けていたのだが、最近インターネットのサイトで知り合ったワイン好きの男とメール交換を続けていた。ワインの話で意気投合したふたりは日曜日に会う約束をするのだが…。

黄昏流星群(19)

30年もの間、北野と元銀座のママ・久美子は愛人関係を続けてきた。久美子の提案でハワイ旅行にやって来たふたりだったが、最近増してきた久美子への嫌悪感から、北野は関係を終わらせようと秘かに決意していた。そんななか、久美子に掛けられた保険金のことを思いだした北野は…。

黄昏流星群(20)

銀座のホステスを家まで届ける「送り」の運転手をしている稲本は、家族に逃げられ社会からもドロップアウトした「最低のオヤジ」。女たちにも不愛想に接していたが、なぜかホステスのひとりが彼に興味を持ち自宅へと誘惑する。ベッドで稲本が見たものは…。

黄昏流星群(21)

片田舎で農業をしながらのんびり暮らす若者・小野ヒロシは、最近、母親の光子に元気がないことを心配していた。そんなある日、家の収納棚から光子宛の沢山の手紙を発見したヒロシ。手紙を読んでみると菅谷という名の男から来たものばかりで、2人はずいぶん長い間、手紙のやりとりをしていたようであったが…。

黄昏流星群(22)

一流会社の取締役である長男・哲郎、弁護士の次男・信次、小さなデザイン会社に勤める三男・和雄、そして外科医の四男・涼。そんな息子たちを残し、著名な小説家が死んだ。残されたのは、銀行の普通預金265万円と宛名の無い4通の遺言状。「それぞれが1通ずつ封筒を取るように」とのことだが…。

黄昏流星群(23)

与党議員に野次を飛ばし、強行採決ともなれば議長席めがけて飛びかかる。そんな少数野党の参議院議員・小坂田朋子。議員仲間にも煙たがられ、ボーイフレンドいない歴46年の彼女だが、そんな朋子にも忘れられない淡い恋の思い出があった。ある日、母校の大学の講演にやって来た彼女は…。

黄昏流星群(24)

30年前に妻を亡くした頑固一徹な父親と、男手ひとつで育てられた34歳独身の娘。そんな2人が切り盛りする中華料理店「酔龍」には、12月24日の今日、ひとりの客もやって来ない。何の予定があるわけでもないが、無口な父親と客を待つだけのクリスマス・イヴ。退屈だったこれまでの人生と、老いた父親の世話だけが待っているこれからの人生を嘆いた娘は…。

黄昏流星群(25)

接戦の市長選挙に勝利して、はや3年。49歳の若き市長・歌川哲彦は、秘書やSPが常に帯同する息苦しい毎日を送っていた。そんな生活に疑問を感じ出したころ、ある町の環境シンポジウムに出席して欲しいという申し出が舞い込んで来た。その町というのは、歌川が中学、高校時代を過ごした町。申し出を快諾した彼は…。

黄昏流星群(26)

六本木ヒルズにある税務会計事務所の経営者・辻啓介は、家には優しい妻、外には便利な愛人が2人いるという、他人が聞けば羨むような人生を送っていた。だが最近、右肩が妙に凝るようになってからというものの、悪いことばかりが続いている。そんなある日、彼は見知らぬ女に「肩に何か見える」と言われて…。

黄昏流星群(27)

40年ぶりに高校の同窓会に出席した瀧川幸介は、かつて結成した「五里霧中」というグループのメンバー3人と数十年ぶりの再会を果たす。4人は旧交を温めるべく、その数日後にゴルフ場へと出かけるが、その帰り道、濃霧に包まれて人影の全くない奇妙な町に迷い込んでしまい…。

黄昏流星群(28)

1969年、松井麗と真田満は、学生運動で騒がしい新宿西口広場で出会った。リルケを愛し、薔薇の刺青を入れた医学生の真田と同じ世界を生きるため、薔薇の刺青を太ももに入れた麗だったが、真田の帰郷によりふたりの同棲生活も終わりを告げてしまった。その37年後…。

黄昏流星群(29)

サラリーマンの三浦は、50歳になっても会社では怒鳴りつけられ、家では邪魔者扱いされる日々。そんなある日、いつもと違う通勤ルートを歩いていた彼は、ふと目にした峰岸という美人妻に心をときめかせる。そして日頃の憂さを忘れたい気持ちから、彼女との「心の不倫」を楽しむようになるが…。

黄昏流星群(30)

総合スポーツメーカー、フォーイースト社の社長・中津川修三。自他共に認める優良企業で手腕を発揮していたが、投資会社・山中ファンドに敵対的買収を仕掛けられ、会社は存亡の危機に陥ってしまう。そんなさなか、新宿で呼び込みの男に誘われるままやって来たイメクラで…。