スピン

迷走する私とフィギュアスケート

スピン
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前

フィギュアスケートを惰性で続けている少女の物語。なまじ出来てしまうことに加えて、ある理由でフィギュアスケートに固執している主人公。やりたくはない、けれどもやめられない、という苛立ち・うんざり感……一冊を通じて、鬱々とした気持ちに支配される。 周囲が全てクソという認識。生きづらさ、世界に受け入れられない絶望感。解決策が無く、無力感を共有することになる。 しかし、ぐいぐいと読めてしまう。そこにある無力感は、過去の私も持っていたものに似ているから。 学校でも、リンクでも、うまくいかない主人公。彼女を支えるのは、それぞれの場所で彼女を受け入れる女性たち。おかげでぎりぎり立っていられる主人公に感情移入する。 過剰に女性の支えを求める理由の中には、彼女の同性愛もある(作中ではゲイと表現)。そこにはときめきがあるものの、決して受け入れられないだろうという諦めが彼女をいっそう荒ませるのが辛い。 幼少期から思春期にかけての迷走は歯痒いし、自分と照らし合わせるのも辛い部分がある。一方で心の奥底で同調し、その辛さがどう癒されるのかを追いたくもなる。 起こる出来事に一貫性が無く、突然なのがリアルに感じる。作者の自伝として、恐らく自分の感情に向き合って、歯を喰いしばって描いたのだろう生々しい描写に触れて、ひどく動揺している私がいた。

メンヘラ製造機だった私が鼻にフォークを刺された話

事実はマンガより奇なり #1巻応援

メンヘラ製造機だった私が鼻にフォークを刺された話
兎来栄寿
兎来栄寿
6ヶ月前

最近、ビッグモーターの醜聞が巷を賑わせています。この時代に、そんなことが現実に有り得るのかと思えるほどの話が連日続々と出てきて驚かされます。 ただ、大谷翔平選手や藤井聡太七冠がマンガでも描かれないような大活躍を見せてくれているように、良くも悪くも時として現実はフィクションを超えていきます。 実際に筆者が体験したことを描いたという、この作品もまたある種の現実を超える話です。 異常な元彼に鼻をフォークで刺されるなど一歩間違えれば死んでいたほどのさまざまな暴行を受けて記憶障害が起きた上に、一人の人間としての尊厳をズタズタに侵されてしまう筆者。そのえげつない相手に対して、徹底的に抗戦していく様子が描かれます。 美人のヒロインが鼻にずっとフォークが刺さって痛々しい姿のまま、というのは創作ではなかなかやれないでしょう。岡田あーみんさんや美川べるのさん、東村アキコさん辺りの絵で想像できなくはないですが、9割以上編集に止められそうです。 元彼や彼の親族の異常性が言動からも絵からも滲み出ていますが、恐ろしいことにこういう人種は全然実在するんだよなとも思ってしまいます。警察における暗部が仄めかされる部分も、その範疇です。 ただ、散々な出来事ではありますが、周囲に良い人が多かったのは不幸中の幸いで良かったなと思いました。彼らがいなかった時のことを想像するとゾッとします。 凄まじい体験談ですが、真に恐るべきはあとがきによれば筆者の中ではこれはまだ人生の中でマイルドな話らしいということです。これ以上の話も見たような、見たくないような。 なお、描き下ろしの秘められた想いとその結末も、とてもリアルだなと感じました。

うちらはマブダチ

アクの強い友人たちとパンチの効いたエッセイ

うちらはマブダチ
さいろく
さいろく
1年以上前

イラストレーターやまもとりえ先生の美大時代から続くエピソード。 著者が在籍していた美大の卓球部がカオスで面白い。 破天荒な友人が多いのだが、これみんな実在するんだと思うと会ってみたくなるね。 とても青春していて、人と人って繋がるよねーと我が身を振り返ったりしました。

北極百貨店のコンシェルジュさん

絶滅危惧種の動物がたくさん出てくる💓

北極百貨店のコンシェルジュさん
干し芋
干し芋
1年以上前

1巻読了。 北極百貨店には、絶滅危惧種の動物を含め、色々な動物がやってくる。 お客様の要望は、それぞれ違う。 百貨店に物を買いに来るのはもちろんのこと、心地よさと気遣い、笑顔等、心にも優しい満足感がリピーターを増やし、百貨店の評判にもつながる。 そのカギを握るのがお客様の要望に応える、コンシェルジュ。 秋乃さんは、新人のコンシェルジュ。 上手くいかにことも多々あるが、お客様が満足するように日々奮闘する。 とても、清々しい漫画♬

散歩する女の子

あちらとこちらを行ったりきたり

散歩する女の子
野愛
野愛
1年以上前

散歩が好きな女の子「にほ」と「まよい」がお散歩するお話。 ほのぼのしていてコミックエッセイっぽさもあり、かと思えばいきなり異世界にぶっ飛ばされたりします。 現実と非現実をお散歩感覚で行ったりきたり、漫画ならではで楽しいです。 景色や施設を楽しむよりも、こういうこと考えると楽しいよ!こういうの見つけると楽しいよ!という視点を提供してくれます。 聖地巡礼しなくても近所で「散歩する女の子」ごっこができるのがいいですね。 スマ見というお名前はスマブラ見てる奴の略なんですよね。いい名前だなあ。

初恋、ざらり

岡村さんいい人すぎて

初恋、ざらり
Nano
Nano
1年以上前

こんないい35歳男性いる!?っていうくらい岡村さんがいい人すぎる。有紗も岡村さんもいい大人で色々経験してるのに、付き合った途端すごく初々しくて可愛くてびっくりしてしまった。 たびたび「障がい者だから…」って自分を卑下したり周りからよくないことを言われてつらい場面もある。けれどそんな悲しみを岡村さんが「いるだけでいい」って包み込んでくれて。優しすぎるよ…こういうのが無償の愛っていうのかなぁ。 上巻おまけを読んで「一生の愛なんて誓いきれない」っていうのが1番共感できました。障害のあるなしに関わらず、結婚って人との契約だし自分にとってはものすごく難しいものだと感じるので…。

悪女

本当の「悪女(わる)」とは誰?

悪女
名無し
1年以上前

1988年というバブリーな時代真っ只中に連載が始まったOL漫画です。当時、テレビで流行していた"トレンディドラマ"の漫画版という感じかな。「悪女(わる)」という題名に目を引かれて手に取ったのですが、表紙には題名にはそぐわない可愛い女の子の絵。そのギャップに興味を持って読み始めました。 コネで商社に入社した麻理鈴がひょんなことから社内で出会った男性に一目惚れ。その人物探しから始まって、同時に麻理鈴が優秀なOLとなっていく様を描いています。その中で、恋や仕事のライバルに邪魔されたり、意地悪されたりするのですが、天性の天使爛漫さとお気楽さ、人の良さでライバルたちの心も和ませていきます。全37巻とかなりの長編ですが、クセのない画風とテンポの良さ、そしてコミカルなシーンも多いので、軽ーく読めます。 私の場合、題名の「悪女」の意味が最後まで気になっていました。麻理鈴は天然で悪女とは程遠いし、意地悪なライバルたちのことを指すのかと思ったのですが、実はみんな良い人たちで、最終的には麻理鈴と親しくなってしまうし、結局最後まで「悪女」らしい悪女は登場せず。でも、待てよ。天真爛漫さという武器で、誰もの荒んだ心や悲しみまでもやっつけて(=癒して)、みんなを味方にしてしまう麻理鈴こそが本当の「悪女(わる)」なのかなぁ。恋の行方の結果は、最後の最後までお預けです。バブリーな時代のOLを垣間見つつ、麻理鈴の恋が果たして実るのかをドキドキ待ちつつ、最後までとても楽しく読めた作品でした。

漫画 黒川温泉新明館

漫画 黒川温泉新明館の感想 #推しを3行で推す

漫画 黒川温泉新明館
leon
leon
1年以上前

・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ 良くも悪くも淡々とした筆致が黒川温泉の臨場感を生み出しているかなと思った。 ・特に好きなところは? ノミで岩を彫って洞窟温泉を生みだしたり、配管に使う竹を入れ替えたりと、 哲也さんの苦労が伝わってくるところ。 ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! もう少しドラマティックな演出を意識して欲しかったけど、 間違いなく力作だと思います。

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