離婚話になると、夫が非協力的だったり理解が足りなかったりなど、何かと女性目線だったりしますが、本作はやや男性目線でオムニバス形式で描かれています。 (1エピソードだけ女性が主人公です) 良いか悪いかは別として、 上記のようなモノに嫌悪感を抱いている男性陣にとっては、この男性目線の展開に、 「なんて酷い男なんだ・・・」 と思い、自分を見つめ直すかもしれません。 (「そのとおりだ!」と男側に同調するかもしれませんが) 私的には、女性がいつも被害者のように描かれるのは、どうも中立性に欠けているなぁと思っていたので、本作はそういう意味で新しい視点が得られて面白かったです。 女性目線でも、読んで胸糞悪くなるかもしれませんが、男の考えがわかるかと。 性格の不一致、徐々に変化していく配偶者、そもそも愛してない、病気になった、人間同士の関係なので色々ありますが、それを許せるかどうかも大事なポイントですね。 全般的に絵柄がキレイなのが特徴で、リアリティがある展開と相まって物語に引き込まれます。 2巻目はどんな関係がみれるのか、楽しみです。
カワイイ日常ファンタジー来た〜! 買って来たヒツジの抱き枕が、突然人型に変身!添い寝しつつ仲を深めるコメディ、どこを切り取っても可愛さしかありません。 不眠症の主人公女子と人型になった抱き枕女子が添い寝しているのを見るだけで、こちらの人肌恋しさも満たされるし、心が穏やかになる。主人公以上に、読者に安眠効果がありそう。 主人公の内気キャラが、陰キャではなく変人枠になっているのも面白いのですが、そんな主人公が抱き枕に癒され、更に「抱き枕仲間」と出会う様子も楽しい。 辛い所が全然無い本作に、ぜひ癒されに来てください!
留年……嫌な響きですね。この歳になっても時折赤点の夢を見る私ですが、そんな私の背筋が凍る「留年」を四コマ漫画でコメディにしたこの作品。一周回ってやっぱり、ちょっと切ない思いが蘇りました。 たった1ヶ月で学校に行けなくなった殊(こと)、体が弱くてようやく通える様になった詩季、躊躇なく授業をバックれ続けた巴。三人の留年生は同じクラスにされる。 1巻は主に殊に焦点が当てられます。彼女は自分の事が上手く出来ない。彼女をいかに学校に来させ、テストの点を取らせるか……優しい詩季がフォローし、巴がせっつくものの、超ネガティブな殊。彼女達に巴の後輩・楓が加わる辛口コメディは、笑いは強烈、暫しハラハラ。 殊のダメっぷりは、きらら系で登場させていいのか疑わしいくらい。彼女の負のスパイラル、思い当たる人もいるかもしれません。仲間がキチンと受け止めてくれ、彼女の成長を見守りたくなる一方、かなり不安も……。 こんなに続きが気になる四コマ漫画も、久しぶりだと感じました。
舞台は1980年代で、絵柄からも懐かしさが漂ってくるマンガですが、設定はかなり斬新で、展開がババババーーーッと進むので先が読めません。 好みが分かれそうな内容ではあるものの、作者の「好き」がふんだんに詰まっていることが伝わリます。かといって独りよがりにならず、漫画が上手いな〜と感心しきりです。 読む前までは「ブロマンスもの」というイメージだけが先行していたんですが、実際は改造人間と謎の怪人のバトルアクションとしてかなり迫力があるものになっているので読んでいて痺れます!2巻早く読みたい!
夜勤明けの楽しみは、皆が出勤する中帰宅する開放感と背徳感。一方それを共有する人がいないというのは、少し寂しかったりします。では、夜勤同士で暮らしてみたら……?というのが、この作品。 締め切りに追われ夜間に執筆する小説家と、夜間警備のバイト。同じ時間帯に働く二人の女性の同居は、お互いを補い合い、楽しげ。 何と言っても面白いのは、朝食にビール!……私もこの発想はあったのですが、朝から勤めに出る家族の手前、なかなかやりにくかった事を思い出しました。夜勤同士の同居いいなぁ! メニューも如何にもな朝食からコッテリ目まで様々。朝食メニューにビールを合わせるのが斬新で、食漫画としてもちょっとした新境地、かも。 夜明けの仕事上がりのテンションやその後のリラックス感、夜勤あるあるといった意外と見かけない題材が面白く、かつて夜明けまで仕事していた時の事を思い出しながら楽しみました。
美大受験を目指す高二女子は、一人暮らしを始めるアパートでセーラー服の幽霊に遭遇する。腹ペコ幽霊にご飯を食べさせながら、主人公は幽霊から美術について学ぶのですが、幽霊の知識量が凄い。 美術史の掘り下げ方が本格的で、描きたい物と技法、時代性までを絡めた解説に唸る。1巻では特に「色」への拘った解説が凄かった。 絵を描く動機が少し弱い主人公。幽霊との出会いで、絵との向き合い方に早くも変化が。また新たなアプローチの美術漫画となりそうです。 それに加えて、幽霊は様々な雑学も披露してくれる。情報量過多で知的好奇心が満たされまくります。 二人の絆は強まる一方、主人公のクラスメイトや同じアパートの住人等、サブキャラの設定付けはまだまだ。先生等、専門性を出せた人物からキャラが強まる感じなので、そこは次巻以降に期待!
非常に発育が良い中学一年生が、子供の様な外見の成人女性と暮らし始めるこの物語。可愛い物好きなのに似合わない少女の悩みと、幼い容姿のせいで人に侮られがちな女性の悩みが並べ語られるのが印象的です。 ジェンダーへの違和等で無くても外見と内面の違和感は、多かれ少なかれ様々な人が抱くのかも知れないと、思いがけず気付かされる本書。他にも様々な複雑さと痛みが、優しさと共に描かれます。 主人公の鈴(りん)は、父が連れてきた再婚候補・寿々(すず)の愛らしさと、鈴に寄り添う心に絆され、寿々に初めての恋をする。 鈴が寿々と共に初めて過ごす「カワイイ」「女子らしい」時間。父親には難しい「女子の成長」に寿々が優しく対応するのも頼もしい。しかしそんな中で鈴の寿々への恋心は募り、でも寿々は父が好きだし……という鈴の心の揺れは切ない。 父は真摯で良い人なのですが、それが却って混乱を起こし、寿々が傷つく。そこで鈴の取る選択からは今後も鈴が苦しみ続ける姿しか想像できないのですが、全体的に温かなテイストの本書。優しさと複雑さの物語がどの様に紡がれて行くのか、期待したいと思います。 ※この作品は「マンバ通信」で芳文社四コマについて執筆されている、えむさんにTwitterで教えて頂きました。ありがとうございました!
学校でいじめに遭っていた15歳の高井瀬奈はある日、車道に飛び出したネコを助けようとしてトラックに轢かれてしまいます。 すると次の瞬間、目の前に"霊界の案内人"と名乗る少女・ファミリアが現れて、瀬奈が死んで幽霊になったのだと追われます。 ファミリア曰く、瀬奈には人間を驚かせる"幽霊の才能"があるらしく、そこで彼女は瀬奈にあるミッションを提案します。 それが「四十九日の間に100人の人間を驚かせることができれば異世界に転生させてもらえる」というもの。 そのミッションを聞いた瀬奈は、現世と決別し異世界への転生をするために人間たちを驚かせはじめる、という物語です。 自身がいじめられてきた経験が影響しているのか、驚かせる人間は"悪人"だけと決めて瀬名は行動を始めます。 そのため、序盤では勧善懲悪的な爽快さのある展開が繰り広げられます。 このまま"最凶の幽霊"として無双する瀬奈の様子が描かれるのかと思いきや、どうやらそういうわけではなさそうです。 そこには瀬奈をいじめていた同級生に対する瀬奈自身のトラウマや、現世に遺された母親の存在などがあり、さらに1巻の最後にはこれまでの物語からは想像できない思わぬ展開が加わることで、爽快感だけじゃないストーリーの魅力が生まれている作品です。 1巻まで読了
表紙買いしたので買ってから推理小説を漫画化したものだと知りました。 といっても、いわゆる一般的に想像するような推理ものではなく、主人公の身の回りで起きた出来事に対して「あれはどういうことだったんだろう」と考えるような話が主です。 なので、謎が解ける快感みたいなものを期待するよりは、物事を多面的に捉えることや想像力の重要性を改めて知れる作品かなと思います。 読んでいてずっと思っていたのは、頭がいい人って「なぜ?」って思ったことが(それがどんな些細なことでも)理解できるまで突き詰めるんだなーということ。まあいいか、とか、そういうもんか、っていう思考は無いんでしょうね。 個人的には表題作の「空飛ぶ馬」がいちばん好きでした。 謎解きという点でいちばん「なるほどそういうことか〜!」が口から出ました。 絵も独特な描き方をしてますね。とくにあんな影の描き方をする人は見たことがない。シンプルなようで、かなり大胆な絵柄だと思います。
切なく、胸がぎゅっとなる内容でした。 寝る前に読んだから余計にですかね。。 陽介とケンジ二人は、もう親子でしょう。 口下手な陽介が指輪に刻んだ一言はグッときます。 でも、できればナツキと3人ハッピーエンドが良かったかな>_< いや、この終わり方だからこそ、何か伝えたいことがあるのかな。 #1巻応援
試し読みをすると、何だか随分明るい雰囲気で、生死の話をしていても深刻に見えないかもしれません。しかし先を読んでいくと、カジュアルさを纏いながらもそこには切ない思いがあり、胸に来る物語となっています。 親友を亡くした少女が、死期を悟った神様、死ねない男と共に「黄泉比良坂」を目指すお話。三人それぞれの死生観はどうしたって重くなりますが、それを美麗な画面と、かなりズレている三人の楽しい旅が和らげます。 少女がいかに親友への喪失感に苛まれているかが語られる。喪った大切な人への「執着」、そしてその「執着」を失う事への恐怖に、強く共感してしまう。 心に亡き友を想いながら旅をする、という形は例えば『マイ・ブロークン・マリコ』とも似たところがあります。その想いの強さも同様ですが、それは旅の同行者や出会った人によって、変化を起こすのか。それともその重い愛を保ったまま、少女は黄泉の国に辿り着くのか……。 そんなロマンシス(女性同士の愛情にも近い友情)的観点からも、今後読み続けたいと思います。 (勿論、人の視点を超越した神様、死ねない男それぞれの物語も今後注目。男色が描かれるので、百合好きさんはご注意を)
女子高生の春瀬清美は英語教師の成田先生に恋をしていました。 しかし成田先生には身重の奥さんがいるため、その恋は決して叶わぬもの。 想いを伝えることすら出来ずただ成田先生を思い続けている彼女は、自分に告白してきた同級生の三谷仁と"体だけの関係"を結んでいました 三谷は春瀬の成田先生への想いを全て知っており、それが「自分の想いが春瀬には届かない」ことを意味すると理解しながら彼女の想いを肯定してくれる存在。 そんな彼に対して春瀬は自身の境遇を重ねるのですが、それが逆に春瀬に三谷への歪んだ執着心を植え付けます。 同じ"叶わぬ恋"をしているはずなのに、何も得ることが出来ていない春瀬に対し、想い人の"身体だけ"は手に届くところにある三谷。そんなのは許されない。 そのような思いから、三谷を傷つけるために春瀬は彼に対して体を許します。 そんな 同じようで決定的に異なる"叶わぬ恋心"を内に秘めた2人のいびつな恋愛模様が描かれる作品です。 1巻まで読了
遮断器の降りた踏切の中に入り死のうとしているOL、彼女の目の前に1匹のタヌキが現れてこう言います。 「人間やめるなら タヌキにならねーか?」 この作品はこのように人間社会に疲れた人々と、そんな人を見つけては「タヌキにならないか」とスカウトしていくタヌキのこがね丸との物語です。 スカウトした人々をタヌキに変化させて"タヌキ体験"させることで数が少なくなってしまったタヌキを増やそうとしているこがね丸。 それに対し"タヌキ体験"によって人間社会から離れることで心の疲れを癒やした人々がそれぞれの道を見つけていく、というハートフルな作品です。 結果的にこがね丸の「タヌキを増やす」という目的はあまり達成できていないのですが、その様子も含めて可愛らしい作品です。 1巻まで読了
何かが傷つく時、壊れる時、失われる時の、隣にいる女性との関係性とエロスを描く短編集。重苦しさの分だけ、訪れる感慨は大きい。 関係性は女性同士ならではの部分もあるが、描かれる感情は昏さ、苦しさ、嫉妬、自己肯定感の低さといった、陰キャの百合男子にも思い当たる「マイナス」な物。 この「美しく無い」と感じる感情が、女性同士の交流と恋(=性欲?)で変化し、或いは肯定され、充足する時の喜び。「ハッピーエンド」もあれば、そうで無いものもある。しかし全ての短編に必ず「救い」がある。 ♡♡♡♡♡ ●好きになるなんてありえない/小学校で虐めていた子と、高校で再開。復讐劇は… ●ハッピーエンドはいらない/お嬢様とメイドの秘密の関係。しかしお嬢様の父の死去で… ●アイなんて知らない/演劇部の先輩の天才に掻き乱される自己肯定感の低い後輩。 ●会社を休んだ日のこと/失恋した幼馴染の絡み酒に付き合う、惚れた弱み。絡めるのは… ●ある会社の彼女たちのこと/行きずりに一夜を共にした女が、私の会社に転職。 ●ハッピーエンドはいらない、その後/後日譚。
営業部のエース・雪芽(ゆきめ)先輩と、駄目新入社員の温美(ぬくみ)。二人がオフにお風呂に入って仲を深める物語。 百合的ポイントは「私だけが知っている、優しい先輩」。 会社でも、取引先にすら、怖い人と認識されている雪芽先輩。温美も会社では萎縮するのですが、二人で銭湯に入る事で、雪芽先輩の優しい表情を知る事になります。雪芽先輩がお風呂に入る時の表情の変化……こちらまでホッとしてしまいます。 最初は銭湯から、家風呂の入り方まで、雪芽先輩のお風呂知識は詳細で、都内の浴場の多様さにも驚かされます。 プライベートで友達のいない雪芽先輩。偶然お風呂で一緒になった温美が、数少ない雪芽先輩の理解者として、寄り添える存在になれるか……尊い百合の予感を漂わせながら、暫くは雪芽先輩の〈ほころぶ〉瞬間を、温美と一緒に待ちたいと思います。
発明好きの高校生・飛丸工太のクラスに渋谷星子という転校生がやってきます。 ある日、星子が学校の屋上の柵の外に立っているのを見掛けた工太は慌てて屋上に向かったのですが、そこで彼女が行っていたのはUFOとの交信。 実は星子は別の星から来た宇宙人で、人類が地球にふさわしい生物なのかテストするために人間の姿をして高校に潜り込んでいたのです。 「"1年間のうちに5人が星子に危害を加えた場合"には地球で生きるには値しないと判断し人類を滅ぼす」という計画を知ってしまい、工太は地球の滅亡を防ぐため星子を守ることになる、という作品です。 何も知らずに星子に絡もうとする周囲の人々に対して、星子に危害を加えられないように奮闘する工太を描くドタバタコメディで、80年代風の絵柄で描かれていてレトロな雰囲気も楽しい作品です。 また、工太と星子以外にもたくさんの個性あふれるキャラクターが登場し、回を増すごとにドタバタ感がどんどん強くなっていく作品です。 1巻まで読了
自らを異性愛者だと言う女性二人の同居物語。もしそこから百合が生まれるとしたら……? フェミニンな主人公は婚活にのめり込みながらも、デートに美味しい「ご飯」を求め、そして大抵食べ足りない健啖家。そんな主人公と同居する女性は、見た目カッコイイ系でも可愛い物が好きで、料理上手。 婚活が上手くいかない主人公と、男運の悪い同居人。しかし仲良し二人は、家では心も胃も満たされていて、君達男要らないよね?という気がしてしまう。 外見とは違う「本音」を抱く二人。互いを良く知る二人は自分らしくいられる関係性を築いているのに、互いを「男性が恋愛対象」と思っているので、近付きつつもすれ違うのがもどかしい。 それにしてもこの作品、とにかく「顔が良い」。二人に至高の瞬間は来るのか……?
銀行の海外投資機関向け営業部を舞台にした、同期の女性行員の物語、のっけからヴァイオレンス! 誰もいないオフィスで罵り合い、取っ組み合い、そして爪を立ててMAKE LOVE。傷だらけの二人、愛と言うよりマウントを取り合うMAKE LOVE。 それは仕事上でも。表面上は仲の良い、息の合った二人は、出世・評価の為に水面下でしのぎを削る。成果の為に争ったり共闘したりと、銀行お仕事漫画としても読み応えあり。 彼女達の行動原理は「マウントを取る」という事なのだと思う。仕事の優秀さも他人への優しさも交友関係も、全て自分を比較優位に置く為の事。そんな二人の原理=素顔剥き出しのバトル&セックス。とても愛とは呼べないそれが、他の何かに変わる時は来るのだろうか。 また先行き不透明で、目が離せない百合新基軸の登場だ!
戦争後の世界、残された生体兵器の処理を請け負う民間会社SHWD〈シュード〉に就職した古賀は、一匹狼の先輩・佐和田とバディを組む。不穏な世界感も女性バディの関係性も、独特で読み応えがある。 バディが立ち向かう相手は、不気味だが人間でも何とか倒せる化け物。しかし厄介なのは「精神汚染」をしてくる所。先輩の為に懸命にメンタルを保つ古賀、他人に心許さない佐和田の過去。どう信頼を得て、心を通わすか、ガタイが良くて強い女達の、独特な関係性の物語はかなりシリアス。 男を軽々のしてしまう古賀と、超メンタルが強い細マッチョ佐和田。二人は普段は「女性らしさ」など纏わないが、銭湯で裸の付き合いやお洒落など「女性ならでは」の話題もあり、百合漫画としては不思議な感覚のある作品。 古賀よ、それは恋なのか?!
この作品の主人公は、病院内ではなく実際に患者さんの家を訪れて看護を行う "訪問看護師"として働いている小林さんという女性です。 元々は病院の精神科で働いていた小林さんですが、病院でのある経験を経て、「もっと患者さんに寄り添いたい」という思いから訪問看護師として働き始めました。 この作品はそんな小林さんが様々な患者さんやその家族と向き合っていく様子を描く作品です。 精神科が舞台ということで、作中には様々な疾患を抱える患者さんが登場します。 そして、患者さんの家を実際に訪問する"訪問看護"では、家族も含めた患者さんの"日常"に寄り添うことになります。 ただ仕事をこなすだけではなく、患者さんや家族の気持ちを想像し、その感情に向き合い続けていく、そんな小林さんの様子が描かれていきます。 精神科ということもあり辛い描写や内容も含まれていますが、絵のタッチが柔らかく作品全体に温かい雰囲気があり、だからこそ心に響く物語になっています。 単行本のナンバリングはされていませんが、連載誌のcomicタントではまだ連載が続いているようなので、引き続き応援していきたい作品です。
表紙買いしました。 普段はそれほど終末世界を旅する系は読まないですが、これは買ってよかったなーと思いました。 主人公の2人以外登場人物はほぼ居らず、食料を探しに入った空き家のなかには、時折り人間の遺体があることも。悲劇的な状況にも見えますが、2人が至って明るく楽しそうに旅をしているのと、実在する場所を旅している(箱根、横浜、ビッグサイトなど)ため軽い旅行気分が味わえます。 主人公2人はかつてお姉さんがSNSにあげていた場所を巡っているのですが、3人の関係は本当の姉妹かどうかは謎。主人公のひとり・アイリは人間かどうかも…微妙。 そういう細かいところや、もしかしたら生きてる人が居るかも?というところで1巻が終わってるのも気になりますが、単純に2人が荒廃した日本をバイクで旅するだけでも十分読み応えがあります。
声の小さな女子と声の大きな男子の甘々両片想いコメディ。この作品の良さは、〜らしさの「テンプレ」を薄めている所にあると思います。 声の小さな小森さんですが、特にコミュ障とか、オドオドしている感じはありません。笑いもすれば、はっきり気持ちも伝える(声小さくて伝わらないけれど)。 一方、声の大きな大林くん。彼の描かれ方がとても好き。 何って、大きな声なのに、威圧的で無い。 声も体も大きな男って、少し怖かったりするのが現実だし、漫画ではそういう部分はよく「強さ」「ガサツさ」「おおらかさ」と表現されます。しかし大林くんは、声の大きさを自覚して一応気を遣ったり(それでもつい大きくなって驚かれるけれど)小森さんの話を聞く時は黙って耳を澄ましている。性格も優しくて可愛い物が好み。 声が大きいのにカワイイ男の子……割と新しくない? 今までの漫画の「声小さい女=オドオド」「声大きい男=ガサツ」みたいなテンプレが薄れたキャラクターの物語は、全体的に愛らしく、甘々だけれども穏やか。バトルしたりしないフツーの男女の恋物語として、楽しく楽しく読めてしまうのです! 声が小さくて伝わらない系女子と、声が大きくてだだ漏れ系男子。どっちも頑張れ。
マンションの隣同士の部屋に住んでいる結崎家と石見家。 結崎家には兄の桐也と妹の梢、石見家には姉の真麻と弟の和馬という同い年の双子がいました。 ある日、桐也と真麻が一緒に帰っているときに真麻が「私 桐也が好き」と告白をしてきます。 しかし桐也は咄嗟にその告白を拒絶してしまいます。 なぜなら…「本当は真麻は桐也の実の妹」だったからです 実はもともとは"桐也と真麻" "梢と和馬"という組み合わせの双子だったのですが、8年前のある日を境に真麻と梢の立場がそっくりそのまま入れ替わってしまったのです。 しかもそのことに気付いているのはなぜか桐也と和馬だけ。 つまり真麻目線では"幼馴染の男の子"である桐也に告白したのですが、桐也目線では"実の妹"に告白されたという不思議なすれ違いが生まれてしまっていたのです。 桐也の中では真麻の存在は"妹"のままなのですが、入れ替わりから8年も経っており、"隣の家の子"として接している時間のほうが長くなってしまったために真麻の告白をどう受け止めればいいのか困惑してしまいます。 本来は兄であるはずの桐也に抱いた真麻の想いは本当に恋なのかどうか、 そもそも入れ替わりは桐也と和馬の妄想や思い違いではないのか、 もし入れ替わりが本当なら この入れ替わった状態がずっと続くのか。 普通の入れ替わりモノでは生まれない複雑な感情に桐也たちが悩まされる、これまでにない作品になっています。 1巻まで読了
クリスマスの夜に熱を出し、会社を休むことになってしまったサラリーマンの井上。 1人家で寝込む孤独に耐えきれず、体調不良についてSNSに投稿してしまった彼でしたが、見ず知らずのアカウントから連絡があり、朦朧としながらそのアカウントとやり取りをするうちに、そのアカウントの主であった金髪ギャル・が家に看病しに現れるという導入の作品です。 かなり変化球気味の導入から始まる作品で、その後も第1話の中だけでいろんな展開を見せるので、1話だけ読むとかなりトリッキーな作品に見えるかもしれません。 しかしながら、1巻を通して読んでみると(2人の出会いの特殊さを除けば)登場人物のすごく純粋な感情に溢れている恋物語だということが分かってきます。 万人に受け入れられる作品ではないかもしれませんが、刺さる人には刺さる内容だと思うので どういう作品か気になった人は是非単行本で読んでみてほしい作品です 1巻まで読了
離婚話になると、夫が非協力的だったり理解が足りなかったりなど、何かと女性目線だったりしますが、本作はやや男性目線でオムニバス形式で描かれています。 (1エピソードだけ女性が主人公です) 良いか悪いかは別として、 上記のようなモノに嫌悪感を抱いている男性陣にとっては、この男性目線の展開に、 「なんて酷い男なんだ・・・」 と思い、自分を見つめ直すかもしれません。 (「そのとおりだ!」と男側に同調するかもしれませんが) 私的には、女性がいつも被害者のように描かれるのは、どうも中立性に欠けているなぁと思っていたので、本作はそういう意味で新しい視点が得られて面白かったです。 女性目線でも、読んで胸糞悪くなるかもしれませんが、男の考えがわかるかと。 性格の不一致、徐々に変化していく配偶者、そもそも愛してない、病気になった、人間同士の関係なので色々ありますが、それを許せるかどうかも大事なポイントですね。 全般的に絵柄がキレイなのが特徴で、リアリティがある展開と相まって物語に引き込まれます。 2巻目はどんな関係がみれるのか、楽しみです。