知らない町を歩きたくなる
散歩に出かけようと思ってするんじゃなくて、たまたま出かけた先の知らない町をそのまま散歩する。ストーリーもほとんどなくてただ淡々と散歩している作品なんだけど、普段は何気なく通り過ぎてるような平凡な町並みもここまで丁寧に描き込まれるとすごく特別なもののように感じますね。夏目房之介先生のマンバ通信の記事を読んだ後だと尚更そう思いました。人の手で描いてることすら信じられないのに、ほとんど修正ナシで描かれているという事実に改めて驚きです。それをなんてことない事のようにやってしまうのが谷口ジローなんだなぁ…。 https://manba.co.jp/manba_magazines/16154
とても静かな漫画。
孤独のグルメ以上に淡々と、何も起きず、時間はただ過ぎるばかり。
そこにあるのはとても上質な退屈。
散歩で得られる気持ちがある。
それは癒しと言うと簡単になってしまう、安堵のような感情。
新しいまわり道を見つけた嬉しさ。
誰かの落とし物を見つけた寂しさ。
散歩でしか補充できない心のゆとり。
が、この本にあります。
雨の日、暑い日、雪の日、散歩がしたくてもできない日。
この本を読めば、散歩をしたのと同じ気持ちになります。
散歩を愛するひとへの漫画です。