原作小説を中学生の時に読んだことがあります。当時は「民さんは野菊のような人だ」「政夫さんはリンドウのようね」という有名なやり取りにキュンとしながら読んで、恋が成就しなかった2人が別々の道を歩くことになり、民さんが嫁ぎ先で亡くなってしまうのにすごく衝撃を受けました。子供だった自分には時代背景がよく分かってなかったんだと思います。

齋藤なずな先生が漫画化したものを読んで、登場人物の心の機微が初めてよく理解できたような気がします。離れ離れになることが決まっても恋心を自覚してしまったから反論できなかったのが切ないですね。再会することなく民さんは亡くなってしまいますが、政夫にとってはいつまでも野菊のような人として心に残り続けることが救いだと思いました。

個人的に一番好きなのは「私のせいで死んでしまった」と政夫の母が取り乱すところです。あり過ぎるくらいの人間味があって原作を超えてました。

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この世界の片隅に

漫画と映画を久しぶりに見返した!

この世界の片隅に
かしこ
かしこ

2025年のお正月にNHK広島放送で映画「この世界の片隅に」が放送されたのは、今年で原爆投下から80年が経つからだそうです。この機会に私も久しぶりに漫画と映画をどちらも見返してみました。 やはり漫画と映画の一番の違いはリンさんの描き方ですよね。漫画では夫である周作さんとリンさんの関係について触れられていますが、映画ではありません。とくに時限爆弾によって晴美さんと右手を失ったすずさんが初めて周作さんと再会した時に、漫画ではリンさんの安否を気にしますが、映画ではそれがないので、いきなり「広島に帰りたい」という言葉を言い出したような印象になっていました。映画は子供のまま縁もゆかりもない土地にお嫁に来たすずさんが大人になる話に重点を置いているような気がします。それに比べると戦時下無月経症なので子供が出来ないとはっきり描いてある漫画はもっとリアルな女性の話ですよね。だから漫画の方が幼なじみの海兵さんと2人きりにさせた周作さんに対して、あんなに腹を立てたすずさんの気持ちがすんなり理解することが出来ました。個人的には男性達に対してだけではなく、当時の価値観で大事とされていた後継ぎを残せない自分に対しての悔しさもあるのかもしれないと思いました。けれどもあえて女性のリアルな部分を描きすぎない選択をしたのは、原作である漫画を十分に理解してるからこそなのは映画を見れば明らかです。 久しぶりに漫画と映画を見返してどちらも戦争が普通の人の生活も脅かすことを伝えているのはもちろん、すべてを一瞬で無いものにしてしまう核兵器の恐ろしさは動きのある映画だから強く感じた喪失がありました。そして漫画には「間違っていたら教えて下さい 今のうちに」と巻末に記載されていることに初めて気づきました。戦争を知らない私達が80年前の出来事を想像するのは難しいですが、だからこそ「この世界の片隅に」という物語があります。どんなに素晴らしい漫画でもより多くの人に長く読み続けてもらうのは大変なので映像化ほどの後押しはないです。これからも漫画と映画どちらも折に触れて見返したいと思います。

野球で話せ

漫画で話せ

野球で話せ
かしこ
かしこ

何を隠そう私も自分の描いた漫画を第11回青年漫画賞に応募していたのです。とはいえ私は記念受験のようなものなので箸にも棒にもかからないのですが…それでも言わせて下さい、私のライバルって中原とほるだったのかよ!!と。いや〜でもこれは完敗です。だって全編を通して「漫画を描くのが楽しい」って感じだったじゃないですか。働きながら漫画を描くのは大変です。やりたいことがあるのは幸せだけど、休みの日なんかに一人で引きこもってコツコツ描いてると「誰にも求められてないものをこんなに一生懸命やって何になる?」と虚しくなります。それよりも情けないのは描きたいから描くのではなく「漫画家になりたいから描いている」という気持ちのブレが起きてしまうことです。それでは本末転倒なのです。だからこそ作中で叔父さんが言っていた『表現を続けなさい』というセリフに胸を打たれて勇気づけられました。それは連載デビューを経験された後も医師として働きながら投稿を続けられたご自身に対しての言葉なのかもしれませんが、私もこんな風に漫画と向き合いたいと思わされる姿でした。いつか私の漫画を中原さんに読んでもらいたい。漫画で話したいです!

ダイヤモンドの功罪

最新話で綾瀬川が覚醒したぞ!!

ダイヤモンドの功罪
かしこ
かしこ

最新話でついに!綾が覚醒をしましたね!エヴァで言うところの覚醒と同じ意味なので心配ではありますが、これから益々タイトル通りの「功罪」っぷりを発揮してくれることでしょう。 ということで単行本を読み返してみました。運動神経だけではなく、身体能力、そして頭脳と、スポーツをする為の全てに恵まれた小学5年生の綾瀬川。U12の日本代表でもエースに選ばれ、他の代表選手からも「俺の世代にはずっとコイツがいるんだ…」と恐れられる程の逸材っぷり。しかし綾瀬川の本心は只々みんなと楽しく野球がしたいだけ。そう、綾本人も自分の才能に傷ついているのです。でも誰もそれを知らない。いてもイガくらいかな? 私は野球に関して全くの無知なんですがそれでもハマるのは、これが「才能」の話だから。やはり圧倒的な才能は人を翻弄するんですよ!!恐ろしやです。 日本代表の並木監督があのまま綾の面倒を見てくれたらよかったけど、このまま足立フェニックスで限界まで投げ続けたらプロになる前に選手生命が絶たれそうで心配ですね。ストーリーの冒頭で何回か高校球児になった綾が出てくるけど「この試合で壊れてもいい…!」と言ってたのが気になる。それがどういう意味なのか。やけっぱちなんだろうか。今のところ理解者になりそうな人が大和しかいないけど、東京と大阪で距離もあるし、大和もプレイヤーになりたそうだし、どうなっちゃうんだろう…。 将来は大谷さんのようになってくれたらいいのにな〜と思うのも綾にとっては大きなお世話なんだよね。とにかくハッピーエンドであってくれ!!と願いながら読んでます。

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初期傑作短編集 ダリア

初期傑作短編集 ダリア

〝普通の人生〟の裏側には 〝激情の人生〟が隠れている。 その狭間に彷徨う人の心を丁寧にすくい上げ、 見事に物語として仕立て上げた初期傑作短編集! 1986年『ビッグコミック』誌上で「昭和61年度前期ビッグコミック賞入選作として掲載された「ダリア」を含む12作品を収録。 ◎収録作品 「ダリア」「春嵐」「多夢気(たむき)」「春の靴」「桜花」「やびぁ!」「玄関」「お茶の時間」「銀杏(いちょう)」「富士」「陸に上がる魚」「夜鳴く鳥」

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鳥獣草魚

鳥獣草魚

大人たちの揺れ動く心情を巧みに描く、齋藤なずな珠玉の短編集。[収録話] 背黄青鸚哥(セキセイインコ) / 戸惑うライオン / 納戸の百合 / 冬の金魚 / ライク・ア・シンギング・バード / 白鳥 / 黒猫 / チューリップ畑でつかまえて / 門

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片々草紙

片々草紙

人間の喜怒哀楽を巧みな人物描写で描き出す、心揺さぶる珠玉の短編集。[収録話] ファジィ / 水の音 / ドッグフードを買ってお家に帰ろう / 夕暮れへ / 106号の奥さん / 青葉 / 沖の稲妻 / おじいちゃんの話 / 蟻の味 / 亀 / 暗渠 / 銀杏 / 娼婦と兵隊 / インコの神 / カウントダウン / 螺鈿の舟 / 修復 / スカートの中

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ぼっち死の館

ぼっち死の館

老いを生き、描く76歳作家の「純」漫画! 舞台は高度経済成長期に建てられた団地。現在そこにはひとり身の老人たちがいつか訪れる孤独死、「ぼっち死」を待ちながら猫たちと暮らしている。そんな彼女らが明日迎える現実は、どんな物語なのか――― 自らも団地に暮らす76歳の著者が描く、私たち全員の未来にして、圧倒的現在。『夕暮れへ』にて日本漫画家協会賞優秀賞、文化庁メディア芸術祭マンガ部門収集賞を受賞した齋藤なずな、渾身の最新作。

夕暮れへ

夕暮れへ

ベテラン作家の埋もれていた名作短編が待望の復刊! 現在入手困難となっている『片々草紙』(1992年/話の特集刊)から8作品、また近作2本(「アックスVol.108」「キッチュ 3.5号」)を収録。 普通に生きる人々の人間味溢れる物語を飾ることなく描き、また近作では最後まで枯れることのないあからさまな人間の煩悩を、著者自身も長年経験した介護の現場を舞台に、圧倒的な画力と巧みな人物描写で描かれたドラマは絶品! 恋愛、夫婦関係、介護、孤独な老人、と重たくなりがちなテーマを、気取らず自然体で、善も悪も平等に織り交ぜて描く事の出来る著者は日本マンガの歴史においても貴重な存在。2017年12月より「ビッグコミックオリジナル増刊号」にてシリーズ連載『ぼっち死の館』を開始、と70歳をすぎてもマンガ表現にさらに磨きがかかる齋藤なずな、久々の作品集です。 収録作品 「夕暮れへ」「沖の稲妻」「インコの神」「ドッグフードを買ってお家に帰ろう」「カウントダウン」「螺鈿の舟」「銀杏」「スカートの中」「トラワレノヒト」「ぼっち死の館」

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齋藤なずな作品集

齋藤なずな作品集

生まれて間もない新興住宅地――。真っ直ぐ伸びる道路、迷いようもない住居表示。けれど、この整然とした町に住む人々の心の内は、ときに――。悩み、苦しみ、傷つき、悲しみ……、幸せを探しあぐねて、ふと迷い道。毎日同じように繰り返されていく平凡な暮らしの中で、突然、心の迷路に入り込んだとき、行くべき道はどこにあるのか……? 明日へ踏み出し、歩き続けるための“しるべ”探しの物語。

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