短いながらも濃密
史実とファンタジーを絡ませながら時間と場所を変えて続いていく話(『火の鳥』とか)がまず好み。色んな人間の死生観や思惑が真理を解明する障害になっていて、さらにその不利益を被る人が沢山出てくるので落ち込む。爽やかな気分になる話ではないけど、生きていく上で起こる絶望や希望が神話的に描かれていると思う。 収録されている短編の『指』も素晴らしい。まず「18歳になるまで(確かに使っていたのに)自分の指を指だと認識しなかった」という描写に驚かされる。自分の身体も歯が生えたり毛が生えたりお腹がちょっと出てきたり、相当に変化してきているが、こんなこと考えたことなかった。