特にすごいと感じたのはセリフです。登場人物達の会話がとても自然なので文字数が多くても読みやすく、同級生の自殺に触発されて悲しい記憶が呼び覚まされた主人公の複雑な心理についても分かりやすく研ぎ澄まされた言葉で語られているのが素晴らしいです。精神が不安定になった主人公を救ってくれた男の子の一言はものすごく心に残りました。初めて倉多江美を読みましたがハマりそうです。

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モリのアサガオ

死刑を執行する刑務官

モリのアサガオ
かしこ
かしこ

死刑という重いテーマと真正面から向き合った作品です。父親のコネで刑務官になり死刑囚と接することになった実直な性格の主人公・及川。凶悪殺人犯のことが怖いと感じるのは彼らのことを理解しようとしないからだ…という考えに至ってからは、積極的に彼らと関わり更生の道を一緒に模索するようになります。しかし心を入れ替えて自らの罪と向き合ってもすでに決まっている死刑からは逃れることは出来ません。いくら凶悪殺人犯とはいえ国が人を殺してしまう、命を持って罪を償うという死刑制度は本当に正しいのか、主人公は疑問に思うようになります。 登場する死刑囚たちの中でも渡瀬という男と主人公の物語を主軸に描かれていますが、個人的には食堂を経営していた家族を惨殺してしまった星山がメインの回が一番心に残りました。主人公が人形を手作りして家族というものを思い起こさせて自分の罪を認識させることに成功する訳ですが、改心してすぐに死刑が執行される展開にはなんとも言えなくなりました。そういう流れを組みながら親友と言えるまで深い仲になった渡瀬からの「死にたくない」という望みを主人公が却下したのには驚きです。最終的には疑問を持っていた死刑制度についても、死と向き合うことが自らの罪を反省するきっかけに繋がるんじゃないかという考えになっていました。 しかしモリのアサガオ2で、渡瀬の死に携わってから主人公が精神を病んだことが描かれていて、やはりこの問題は深い森の中にあるのだなと思いました。

えすのかいほう
エスの解放
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静粛に、天才只今勉強中!

静粛に、天才只今勉強中!

1787年、オラトワール修道院付属学校の物理教師・コティの部屋から飛び出した気球。その気球を見つけ、コティのもとへ届けた青年こそ、若き日のナポレオンであった。そんなある日、技術や学問が活発な都会アラスの学院の教官に任命されたコティ。着任までの休暇を利用してパリへ寄り道することにしたコティだが、そこで待っていたのは…。

シリーズ・誰かに似た人

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泥酔した夫が悪酔いした知人を連れて帰宅し、深夜の大騒動に…。(帰ってきた酔っ払い) 散歩が趣味で極度の犬恐怖症の男は、散歩中に犬に出会っても、目を合わさないようにしていたのだが…!?(HELP!) など、どこかにいそうな人たちのトラブルをおもしろおかしく描いた、珠玉の短編集!!

樹の実草の実

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ケンカが強くて面倒見良く、皆から一目置かれている存在・檀(まゆみ)。ある日同級生の大滝に危ない所を助けてもらう。それ以来、彼と友達になりたいと思い始めた檀だったけど…!?

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