有名ラーメン店屋の創業者立志伝
今も昔も好きな食べ物にラーメンがあります。 ただ、自分は色んな店に行くというよりは好きなラーメン屋に飽きるまでずっといくタイプなのですが、本作でも語られている 武蔵 なんつッ亭 中村屋 は、よく行ってました。 また、 大勝軒 天下一品 一風堂 このあたりは「ど」がつくほどメジャーだし、最終話の日清食品とかは日本人ならいわずものがななラーメンだと思う。 そんなラーメン屋の創業話ということで、こういう歴史や苦労話が好きな自分にとってはやはり面白かった。 自分が足繁く通ったラーメン屋ならなおのこと。 特に、天下一品のエピソードが好きですね。家族養うために屋台をひいて、暴力団にからまれてもやめない不撓不屈の精神に感服しました。 あのこってりは、創業者からにじみにでているのかと思うと、ラーメンに対する姿勢も変わってきます。 なにはともわれラーメンは、これだけ味の試行錯誤を重ねても1000円台で食べられるのは奇跡に近いと思います。 その奇跡をつくった男たちの話。 面白くないはずがないです。
ラーメンを題材にした漫画には、構造的な問題があります。
それは「(所謂)ラーメンハゲが、大体の結論を、もう既に言っている」ということです。
特に、味や技法については、『ラーメン発見伝』で、あたかも最初から既知であるかのごとく、スッと結論を述べるので、そこに至るまでの先人たちの試行錯誤と研鑽の積み重ねが、全く伝わりません。
別に、ラーメンは、友情努力勝利じゃないので、それでいいのだ、と言われそうですが、でもね、と言う感情もあります。
そこら辺のモヤモヤしたものを、一掃してくれるのが、このシリーズなのです。
1巻2巻は、名物ラーメン店創始者傑物人物伝、とも呼べる物で、とにかく熱意体力情熱気力で、ゼロから店を起こし、繁盛店に持っていきます。
基本的に、登場人物は、大概他業種から経験ゼロで修行もそこそこに挑んだ人達ばかりですが、全員「ラーメンが好き」「お客さんのよろこぶ顔が好き」と言う共通点があります。そして、大変な困難に面しても、それなりの成功を手にした後でも、それを絶対手放さない、と言う描写がなされます。
ある種の浪花節かもしれませんが、そうでないと得られない心の揺さぶりもあります。
さて、現時点(2023年4月)で、振り返るとどうでしょうか。
「ちゃぶ屋」はブランドごと消滅して数年経ちますし、「春木屋」も「なんつッ亭」も企業に買収されてしまいました。
なによりも、このシリーズで最も印象に残る人物、佐野実、山岸一雄、そして原作の竹内伸は、もうこの世にはいません。
だからこそ、この熱意体力情熱気力の結晶のようなストーリーの数々は価値がありますし、これからもその意味と価値が失われる事は無いのでしょうね。
今なら無料で全話読めるみたいです。
【一杯の魂 ‐ラーメン人物伝‐】が今すぐ読める!全作品無料、会員登録不要でさらに待ち時間も無し。好きな時に好きなだけ読むならマンガ図書館Z!