人外に愛される、孤独だった女の子
異世界ではなくちょっと違う次元で、転生でもない。 知らぬ世界で保護され、歌乞いと呼ばれる職につくことになった主人公ネア。 以前の孤独で慎ましい生活より豊かな生活に、いつかは出て行って…という気持ちものびのびに。 歌乞いは魔物(見た目は美しい人間)と契約し、その能力を行使してもらう職能だが、対価として命が削られる。 様々なことが考えられる状況下、先手を打って適当に呼び出した魔物・ディノがどう見ても教わった高位で、削られる命も多そうな、一騒動置きそうな見外見。 数が多くて無難な自称・薬の魔物ということにすることにした。 と、まあ、設定は複雑なのだけど。 ストーリーは端的に言うと、孤独だった女の子が、ぞんざいに扱われると喜ぶ美麗な人外と、彼女を保護する人たちと過ごす日常譚。 ひょんなことから、元王子を男色と勘違いして、ゴリ押ししたり、クッキーモンスターと名付けた美少年姿の魔物を餌付けしたり。 トラブルは起こるけど、幸せそうな日々が描かれている。 モノローグが多いので、淡々とした雰囲気もあるが、ネアとディノの掛け合いを見ていると、賑やかにも感じてくる。
突然異世界に転生し、気付いたら不思議な森の中にいたネアという女性は、とある国の領主に保護され、息つく間もなく自身が“歌乞い”という役職の適正があると聞かされます。
“歌乞い”とは、魔物と契約を結び、その魔物が持つ魔術の叡智を得るという役職。
しかし、その恩恵の“対価”として“歌乞い”自身の命が削られていくという事実を知ったネアは、“対価”を少しでも小さくするために、正式な儀式の前に低級な魔物を召喚しこっそり契約しようとした結果、あろうことか魔物の王であるディノを召喚してしまいます。
この作品はネアに異様な懐き方をしている上になぜか“対価”を取ろうとしないディノと、そんな彼のことを当たり障りのない「薬を司る魔物」と領主に偽ることで厄介事を避けつつなんとかディノを“解雇”し別の魔物と契約することで安寧を得ようとするネアを中心に、美しくも儚い雰囲気を纏いながら密度の濃い物語が紡がれていく異世界ファンタジーです!
1巻まで読了