「お前ら」「僕ら」って言うけど君はひとりなんだよ
※ネタバレを含むクチコミです。
小骨トモ先生の新作読切。
短編集『神様お願い』が重版かかってるようでおめでたいです。
友達がいないから、いやだからこそ友達がいないのかもしれないけど、一人で抱えて誰にも話せずぐるぐる考えてどろどろに煮詰まって相手を見てるのか見てないのか、勝手に期待して失望して一方的に思いを吐き出して突き放していてどろどろでとてもよかったです。
小林くんの場合、同じ「視る瞳」を共有できたと思ったからこそ、全部共有できると期待してしまったのかもしれないし、それが借り物だと分かって裏切られたと感じて深く傷ついてしまったのかもしれない。
そして小林くんはそこでぶった切ってしまった。
そのコミュニケーションの先にあったかもしれない何かは思春期ならではの爆発でかき消えてしまった。
「世界はなんて美しいんだ」と、リカ先輩から降りてきたこの一本の蜘蛛の糸ですべてが救われたと感じるほどに感動したからこそのこの落差だった。
一時は同じ感情を持てたはずのに、それすら憎悪の対象としてしまった彼の青春は救われない。
どん底でよかったです。
友達が一人もいない小林君の唯一の楽しみは映画を観ること。そんな小林君にも友達が出来た。映画館で出会ったリカ先輩。