この物語は事実をもとにしたフィクションである!!
その前書きと共に語られる車田先生の壮絶怒涛の自伝漫画! この作品ほど車田正美がどういう男なのかを雄弁に語っている作品は無い! 正確で客観性に富んだフィクション性の無い物が読みてえ奴はWikipediaでも眺めてろ!! 漫画家の自伝漫画には脚色の多寡はあるが、この作品は永井豪先生の「氷壁の母」や、手塚治虫先生の「紙の砦」等の自伝漫画に近いタイプの作品で、それらの作品がまず事実の羅列よりまずは「笑い」や「感動」を優先しているように、この作品で優先されているのは「熱血」である! 夢に焼かれて死ぬ男達の熱いぶつかり合い、その中で馬鹿なりに必死に生きる車田少年の出会いと成長、男達の死に様、その全てがWikipediaを何時間も眺めるよりも、数百倍車田作品に流れる血潮を感じさせる! ハッキリ言って真実性を求める読者や石頭で小利口な人には全くおススメできない!が、車田漫画は未読だが胸の中に馬鹿な少年の心があると自負する読者は是非読んで欲しい!
小さい頃、聖闘士星矢が好きすぎて、すごい作品すぎて、自分も聖闘士星矢のような作品が描けるようになりたくて、でも絵が下手すぎて、最終的には弟に「自分は実は車田正美である」と嘘をつくも信じてもらえず、ムカついて背中にキックをお見舞いし、呼吸を止めたくらい車田先生の信者でした。
大人になってから車田先生を好きな気持ちは一旦は少し落ち着いていたので、この作品はノーチェックで、たまたま発見したのですが、一応念のため読ませていただきました。
マンガ家を目指すあたりからリングにかけろの頃までを簡略化してまとめてますが、特に伝わってくるものがなかったので残念です。明らかに史実をベースにしていながらもフィクションっぽくしてあったり、どっちつかずになってしまっているもの残念です。
特に序盤、周りのみんなが東田(主人公)に「お前はがんばってマンガ家になれよ!」と励ましてくるのですが、東田がマンガ家になりたいと思ったきっかけもよくわからないし、応援されるほどの何かがあった描写もなく、違和感しかなかったです。
ただリングにかけろとか聖闘士星矢とかは当時めちゃ夢中になった作品ですので、車田先生物語はこんなものではないはずで、もしお時間許すようでしたら全40巻くらいで執筆してほしいと思ってます。