野愛1年以上前編集熊本県黒川温泉。温泉旅館・新明館の長男として生まれ、新明館のために生きた後藤哲也さんの生き様を描いた作品。 竹を切り石を運びわらじを編み……ただひたすら新明館のために働く日々。 家のために身を粉にして働くのが当たり前の時代だったという側面もあるだろうけれど、日当を前借りしては仕事をサボる人も出てくるので、哲也さんは当時の価値観でも勤勉なのだと思う。 哲也さんが凄いのは、嘆いたり迷ったりしないところ。 他の町と比べて見どころがないと思えば、山を切り拓きつつじを植える。ノミ一本で岩を掘り洞窟温泉を作る。どんな木がどんな石が新明館にふさわしいかを考え、常に良いものを作り続ける。 誰に反対されても、協力を得られなくても、嘆かず迷わず淡々と働き続ける。 点滴穿石、磨穿鉄硯とはこういうことを言うのだろう。 小さな努力の積み重ねを淡々と描いているからこそ、現在へ続く歴史の壮大さを感じられた。5わかるfavoriteわかるreply返信report通報
あらすじ熊本県 黒川温泉。訪れた人が懐かしさを感じるその自然豊かな温泉宿のスタイルは少しずつ全国の温泉地に浸透し、やがては日本各地に大きな影響を与えることになる。その温泉を作り上げたひとりの人物、後藤哲也。この人はどのようにして人の心をときほぐす風景に気づき、それを再現するに至ったのか。1949年(昭和24年)の戦後間もない混乱の時代の青年期から描く第1巻。続きを読む
漫画 黒川温泉新明館
熊本県黒川温泉。温泉旅館・新明館の長男として生まれ、新明館のために生きた後藤哲也さんの生き様を描いた作品。
竹を切り石を運びわらじを編み……ただひたすら新明館のために働く日々。
家のために身を粉にして働くのが当たり前の時代だったという側面もあるだろうけれど、日当を前借りしては仕事をサボる人も出てくるので、哲也さんは当時の価値観でも勤勉なのだと思う。
哲也さんが凄いのは、嘆いたり迷ったりしないところ。
他の町と比べて見どころがないと思えば、山を切り拓きつつじを植える。ノミ一本で岩を掘り洞窟温泉を作る。どんな木がどんな石が新明館にふさわしいかを考え、常に良いものを作り続ける。
誰に反対されても、協力を得られなくても、嘆かず迷わず淡々と働き続ける。
点滴穿石、磨穿鉄硯とはこういうことを言うのだろう。
小さな努力の積み重ねを淡々と描いているからこそ、現在へ続く歴史の壮大さを感じられた。