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わたしは家族がわからない

最後にビビる

わたしは家族がわからない やまもとりえ
六文銭
六文銭
率直に言って、 読んだ後 え? ってなって、もう1回読み直してしまった。 で、確かにこういう結末になるようなフラグ的なものはあったが、それでもビビってしまった。 そして、平凡って何なんだろうなって考えてしまった。 本作にもあるように、平凡が一番難しく尊いのかもと。 一緒に生きているだけで、特に嫌なところってのは目につくわけで、それを我慢した上で「いつもどおりの日常」を送るって並大抵のことではないんだなと。 「それでも町は廻っている」(石黒正数)という名作で、主人公の同級生・真田のお母さんの葬式の回(4巻 第31話 一ぱいのミシンそば)のなかに、主人公・歩鳥が涙するシーンがあるのですが、それを著者である石黒正数先生が、 「真田に同情したからではなく、当たり前の日常を送るために、周囲の人がいかに努力しているかに気づいたから涙した」 的なことを書いてましたが(これだけ読んでも意味不明だと思うので「それ町4巻」を読んでほしいw)ホントそうだなと思います。 みんなが少しずつ我慢したり、ある時は誰かが我慢したり、その繰り返しの中に「当たり前の日常」があるんだと痛感しました。 本作に出てくる主人公も平凡を望むあまり、突然、夫が1週間失踪してもまるでなかったかのように我慢した結果がアレだとしたら悲しすぎる。 問題と向き合わなかった結果と言われればそれまでだけど・・・ 遅かれ早かれこの結果になっていったのかな?普通に生きていくって?とか考えると、どうにもモヤモヤしました。 何にせよ、問題提起や考えるきっかけという意味では、本作は秀逸だと思います。
おはよう、おやすみ、また明日。

がんと、人生と向き合う #1巻応援

おはよう、おやすみ、また明日。
兎来栄寿
兎来栄寿
『CREWでございます!』シリーズの御前モカさんによる新作です。フィクションではありますが、一家全員ががん患者であることは本当で、ご自身の闘病経験を元にして描かれているそうです。 主人公の独身女性・秋山紅葉が、がんで五年生存率50%を宣告され闘病していくという内容になっています。 皆さんは、もしも同じように宣告されたとしたら、どうするでしょうか? なかなか母親に切り出すことができなかったり、友人に伝えたら心無い言葉をSNS経由で刺されたり、読んでいて胸が圧搾されるような気持ちになります。10話の122Pなど、思わず嗚咽が漏れました。 それでも、同じ病室の杏子さんのように素晴らしい人との出逢いも生きている限り存在します。 杏子さんの言葉であったり、改めてその境遇になってからいろいろな物事を見つめ直したりすることを通して、今まで抑圧されていたものや苦しみからの解放が得られる瞬間もあり、そこは祝福したくなります。 私もなかなか自分のために生きられず人に譲ってばかりな部分があるので、紅葉がたまには自分のために生きようとするシーンなども全力で応援したくなります。 がんは日本人の死因としては1位ですし、私も大概睡眠や命を削って生きてきたので30代でがんになる『断腸亭にちじょう』などを読んでいてもまったく他人事に感じられません。いつか遠くないときに、自分や周りの人に訪れるかもしれない。 そうなったときに知っておくべきことや心構えとして持っておくべきことはたくさんあり、備えとして読んでおいて損はない作品です。それ以上に人生における大切なものも、ここにはたくさんあります。 そして、私は『CREWでございます!』や『おはよう、おやすみ、また明日。』のような素晴らしいマンガを描いてくださった御前モカさんに感謝しています。どうかひとつでも多くの笑顔がありますように。
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