このお話は、きっと誰かの心を揺さぶると思う。
涙なしでは読めませんでした。 自分の人生について考えてしまった。 息子を交通事故で亡くした未央。未央は亡くなった息子が異世界に転生したと思い同級生、堂原の元を訪ねて転生する方法を2人で探す。 私は、本当に異世界に行って息子と会えるのかなと思ってたんだけど、やはり異世界はない。 息子の死を受け入れられない未央の気持ちが、漫画の中から伝わりすぎて読んでて辛かった。 きっと、心の奥底では息子はもういないって分かってたんだろうなぁ。でも納得できないし受け入れるなんてできないよな。 特に最終巻、現実と向き合った未央に、前に進む2人に更に心掴まれ涙でした。
ストレートに言って凄く好きです。
『私の神様』のコメントでも記載したのですが、私かねてから異世界転生モノは「別れの話」だと思っていたんです。
※以下引用です
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ループものは、繰り返しの終わりを
異世界からきたものは、自分の世界にどうやって戻るかを
こんな感じで、最後に必ず別れを描く必要がある。
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そしたら、まさかここまでストレートな作品がでてくるとは!
タイトルとあらすじから、うわーーーーっと震えながら読みました。
さてその内容ですが、
息子が交通事故にあい、息子が好きだったラノベを読み耽るうちに転生したのでは?と考えるようになって、かつての同級生でオタクな主人公・堂原の元にやってきた母・美央。
堂原はラノベに詳しいこともあり、二人で、転生する方法ないしは息子を転生先から連れ戻す方法を探す、という流れ。
正直、もうこの時点でちょっと悲しい。
交通事故で異世界に転生とかそんなわけないだろ
と
そう思いたくなる気持ちもわからんでもない
と、その狭間で揺れます。
突然すぎる理不尽な死は、簡単には受け入れられないですよね。
子供の死ならなおのこと。
そして、久しぶりの再会で、転生方法を探しながら会話を重ねていくうちに少しづつ明らかになる美央の内情。
高校時代の美央は、オタクな主人公とは真逆で、陽キャというかギャルというか、クラスの中心的な存在にみえていた。
が、実際は家庭環境には恵まれていなくて、両親は息子の葬式にも出なかったという。
高校卒業と同時くらいに息子を産み、そこからの人生のほうが楽しかったとつぶやいた姿は、良き母であり、息子がいかに大事だったかを物語っています。
両親に恵まれなかったゆえに、自分の家庭、特に子供には愛情を注いだことがよくわかります。
こういうのがサラっと随所に出てくるので、いっそう胸が締め付けられるんですね。
主人公も、転生なんてあるわけないと一線引きながらも、憐憫・同情からなのか、しっかり付き合うのはいいヤツそのものです。
(主人公以外の、美央の周囲の人間は相手にもしなかったのに。まぁ、普通はそうなんでしょうけど)
できることなら納得のいく形で悲しみを処理できて、次にすすむ力になって欲しいと強く思います。
徐々に、美央の旦那や周囲の人間動きだして、二人の関係になんらかの変化が起きそうです。特に2巻の最後が、気になる終わり方をしているので続きが気になって仕方ないです!
異世界転生ものは冒頭でよく死にますが、本作は「残された側」の話。
転生先でチートで無双したりして、元の世界の冴えない自分の溜飲を下げる形で救いになってましたが、こういう、ある種「人の死を受け入れる」形でも救いになるんだなと表現の幅に感服しました。
こんな異世界ものもいかがでしょうか?