あらすじ

この世界で最も大きな喪失感と向き合う物語 それでも、ひとは… その消えぬ悲しみと共に生きていく。「元に戻っただけなんだ。異世界転生しようとする母親から、息子を亡くした母親に。俺は何もできない無力な男に。それなのに考えてしまう 美央さんを助けたいって」 堂原の祈り、そして美央の前に現れた僅かな光。――涙と希望の完結巻。
私の息子が異世界転生したっぽい フルver. 1巻

息子を失った母と同級生、喪失と愛情の物語「異世界に行った息子と会う方法を教えてほしい」 17年ぶりに再会した同級生からの依頼でオタク陰キャな会社員・堂原の非日常な日々が始まった! 最愛の子を失くすということ。この世界で最も大きな喪失感と向き合う物語。【ご推薦の声!】「美央の探求心と行動力を、私は現実逃避だとは思いません。かけがえのない大切な人を喪った時、もう二度と会えないかもしれないけれどきっとどこかで生きていると考えるのは自然なことではないでしょうか。美央が大我への思いを健やかに手放し、堂原が自分自身を取り戻すまで、じっくり時間をかけて欲しい。もっと二人の物語の続きが見たいです」ジェーン・スー(コラムニスト)「異世界モノの意味、考えたことある? 異世界モノが単に空虚なものであったら、世界中になぜこんなにも広がっているのでしょうか。息子を亡くす、というこの世で最大の不幸に見舞われた母がライトノベルにその意味を見出そうとする。この母の前に登場するのが慎ましく生きる一人のオタク。オタクは、人を救うことができる聖職者なのかもしれません」 吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)

私の息子が異世界転生したっぽい フルver. 2巻

最愛の子を失った母の喪失と向き合う物語。an・an、ダ・ヴィンチ等で共感の声多々!!! 「異世界に行った息子と会う方法を教えてほしい」 そう言って堂原の前に現れた美央。彼女が高校の同級生である堂原のもとを17年ぶりに訪れる前に、夫や地元の友達との間で起きたことは――。美央を取り巻く“現実”、悲しみ、苦しみ。その姿を垣間見た堂原は美央をいかに支えるのか。――最愛の子を失くすということ。この世界で最も大きな悲しみと向き合う物語。

私の息子が異世界転生したっぽい フルver. 3巻

美央の傷の核心に触れてしまった堂原は… 「堂原は、大我が異世界転生したって話 信じてくれてるんだよね?」 息子の大切な物を探そうと、夫のいぬ間に帰宅した美央だがそこで夫と遭遇。美央の悲痛な叫びは夫に届かず、更に傷をえぐられてしまう。悲しみを抱えたまま堂原のもとへ急ぎ、安心した美央は彼女の“見たい世界”を堂原にぶつけ、「息子が異世界転生したって信じてくれてるんだよね」と確かめる。ついに露呈した美央の核心に、堂原は…!?

私の息子が異世界転生したっぽい フルver. 4巻

息子を失った悲しみ。美央の絶望に堂原は… 「ごめんね、堂原。それでも私は大我を捜すことを諦められない――」 息子の死に直面しつつも美央の悲しみをまったく理解しようとしない夫が、無理矢理に美央を地元に連れ戻そうとして現れる。美央、堂原、夫…… 3人の対峙を経て、息子を失くした美央の慟哭を堂原はいかに受け止めるのか!?

私の息子が異世界転生したっぽい フルver. 5巻

この世界で最も大きな喪失感と向き合う物語 それでも、ひとは… その消えぬ悲しみと共に生きていく。「元に戻っただけなんだ。異世界転生しようとする母親から、息子を亡くした母親に。俺は何もできない無力な男に。それなのに考えてしまう 美央さんを助けたいって」 堂原の祈り、そして美央の前に現れた僅かな光。――涙と希望の完結巻。

私の息子が異世界転生したっぽい フルver.

ありそうでなかった「異世界転生」の新しい切り口

私の息子が異世界転生したっぽい フルver. シバタヒカリ かねもと
六文銭
六文銭

ストレートに言って凄く好きです。 『私の神様』のコメントでも記載したのですが、私かねてから異世界転生モノは「別れの話」だと思っていたんです。 ※以下引用です https://manba.co.jp/topics/21259 === ループものは、繰り返しの終わりを 異世界からきたものは、自分の世界にどうやって戻るかを こんな感じで、最後に必ず別れを描く必要がある。 === そしたら、まさかここまでストレートな作品がでてくるとは! タイトルとあらすじから、うわーーーーっと震えながら読みました。 さてその内容ですが、 息子が交通事故にあい、息子が好きだったラノベを読み耽るうちに転生したのでは?と考えるようになって、かつての同級生でオタクな主人公・堂原の元にやってきた母・美央。 堂原はラノベに詳しいこともあり、二人で、転生する方法ないしは息子を転生先から連れ戻す方法を探す、という流れ。 正直、もうこの時点でちょっと悲しい。 交通事故で異世界に転生とかそんなわけないだろ と そう思いたくなる気持ちもわからんでもない と、その狭間で揺れます。 突然すぎる理不尽な死は、簡単には受け入れられないですよね。 子供の死ならなおのこと。 そして、久しぶりの再会で、転生方法を探しながら会話を重ねていくうちに少しづつ明らかになる美央の内情。 高校時代の美央は、オタクな主人公とは真逆で、陽キャというかギャルというか、クラスの中心的な存在にみえていた。 が、実際は家庭環境には恵まれていなくて、両親は息子の葬式にも出なかったという。 高校卒業と同時くらいに息子を産み、そこからの人生のほうが楽しかったとつぶやいた姿は、良き母であり、息子がいかに大事だったかを物語っています。 両親に恵まれなかったゆえに、自分の家庭、特に子供には愛情を注いだことがよくわかります。 こういうのがサラっと随所に出てくるので、いっそう胸が締め付けられるんですね。 主人公も、転生なんてあるわけないと一線引きながらも、憐憫・同情からなのか、しっかり付き合うのはいいヤツそのものです。 (主人公以外の、美央の周囲の人間は相手にもしなかったのに。まぁ、普通はそうなんでしょうけど) できることなら納得のいく形で悲しみを処理できて、次にすすむ力になって欲しいと強く思います。 徐々に、美央の旦那や周囲の人間動きだして、二人の関係になんらかの変化が起きそうです。特に2巻の最後が、気になる終わり方をしているので続きが気になって仕方ないです! 異世界転生ものは冒頭でよく死にますが、本作は「残された側」の話。 転生先でチートで無双したりして、元の世界の冴えない自分の溜飲を下げる形で救いになってましたが、こういう、ある種「人の死を受け入れる」形でも救いになるんだなと表現の幅に感服しました。 こんな異世界ものもいかがでしょうか?