台北で地上げに従事していた青年が、台北から3時間離れた田舎のよろず屋を受け継ぐ物語。そこには「懐かしさ」と一括りにできない、老若男女たくさんの人の縁の物語が待っていた。
よろず屋「用九商店」で提供される品は、よく見ると日本人の私にはよく分からないものが多くて面白い。日常的なもののはずだが一体何に使うのか……。
近所の顔馴染みが集い、話し笑い合うお店の雰囲気も、町の様子も全く垢抜けない。しかし主人公を含めた人の歴史、変わらない廟、ゆっくりとした仕入れと時の流れ、ざらつく質感……店に結びつくそれらが一つひとつ丁寧に描かれると、そこで人生を大切に生きてきた人達の物語を肯定したくなる。
主人公の青年が、周囲の人々に助けられて創り出す新しい店の形も素敵だ。
古い物をただ否定するのではない、過去を大切にしたままで、新しい時代を迎える方法があるのではないかという、今までにない希望の様な物がそこにはある。
ここに住む人達の悲喜交々を、小さくても豊かな人生達をずっと見ていたい。生きる充実感でこちらも満たされる、少しずつ時の進む台湾の田舎の物語を、もう一度読み返したい。
(#1巻応援 としましたが、1・2巻同時発売なので2巻の内容まで含みます)
「だったら、オレが明かりをともそう。そう決めた」台北(タイペイ)市で一流の会社に勤める揚俊龍(ヤン・ジュンロン)。ある日、よろず屋「用九商店(ようきゅうしょうてん)」を営む祖父が倒れたという知らせが入る。店をたたむため数年ぶりに帰郷することにしたが・・・。思い出が詰まった「記憶の箱」を通して俊龍が見つけたものとは?---台湾で最も権威ある「金漫賞」受賞&実写ドラマ化!かつては「人々につながりを与える場所」であり、「心の拠り所」でもあったよろず屋本作は都市化が進み、台湾でも失くなりつつある商店を中心に、日常を懸命に生きる人々の交流、そして一人の青年の学びと成長を描く
「だったら、オレが明かりをともそう。そう決めた」台北(タイペイ)市で一流の会社に勤める揚俊龍(ヤン・ジュンロン)。ある日、よろず屋「用九商店(ようきゅうしょうてん)」を営む祖父が倒れたという知らせが入る。店をたたむため数年ぶりに帰郷することにしたが・・・。思い出が詰まった「記憶の箱」を通して俊龍が見つけたものとは?---台湾で最も権威ある「金漫賞」受賞&実写ドラマ化!かつては「人々につながりを与える場所」であり、「心の拠り所」でもあったよろず屋本作は都市化が進み、台湾でも失くなりつつある商店を中心に、日常を懸命に生きる人々の交流、そして一人の青年の学びと成長を描く