2021年の百合でトップクラス #1巻応援
イブニング新人賞やちばてつや賞を受賞、そしてジャンプ+ に載った読み切り「二番目の運命」も最高だった注目の新鋭・幌山あきさん。待望の単行本が遂に発売されました。 端的に言って素晴らしかったです。 苦労して生きるのが嫌で、パパ活で収入を得ていたりこの下に新しく現れたパパは何と女性。 「女性のパパはダメですか?」 というアラサー女子の東には、秘めた目的が……という導入から始まる百合です。今年読んだ百合系作品の中でも屈指の良さでした。 まずテーマとされている「消費」の描き方が、非常にリアルで心に迫るものがありました。形は違えど誰しも消費したり消費されたりした経験があるであろうこの現代社会。そこに宿された覚悟や祈り、りこや東の背景にあるものも含め恐らく多くの人に色々な形で感情移入できるポイントがあるでしょう。 そして明示的に悪役として描かれたキャラが登場するのですが、彼の言っていることは露悪的ではありながら現実的には合目的的であり、誰かを傷付けてしまう雑な消費の仕方を望む大衆がいるというのも事実。彼はその象徴のようです。そうしたものに触れると生きるのが辛くなってしまうこともあります。 しかし、本当は世界にはもっと美しいものも溢れているはず。それこそこの本を読んだ後にもらえる気持ちのように。そうした美しいものをこそ大事に生きていきたいと思える物語でした。 幌山あきさんは、ありふれた素材を使っていても独自の味付けと盛り付けで美味しさを提示できる稀有な描き手です。名前を見たら今後も全部読みたいです。
バナー広告で1話読んですぐに単行本買ってしまったのですが、女性のパパである東さんが小説家なだけあって作品自体も小説的な読み味ですごくグッときました……。
最後の終わり方はまさに「マーブル《ビター》チョコレート」という感じだけど、りこがああしたのは東さんに小説を書かすためだったんじゃないかな……作品さえこの世に出れば本を通じて繋がっていられるから。
めっちゃ面白いとかではなく、2人の関係性の良さがジワっとくるタイプの1冊です。
↓1話
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↓Pixiv版
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