利平さんとこのおばあちゃんの感想 #推しを3行で推す
・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ 若い女性が描かれていたんですね。お子さんの育児中に受賞してそのまま連載デビューになったそうですが、心理描写の熟練度からベテラン漫画家の作品だと思ってました! ・特に好きなところは? 主人公のおしげさんが亡くなったおじいさんに一途なところ。湯呑みの話、分校に竹箒を届ける話、古い映写機を直す話、おじいさんとのエピソードは全部うるっとします。 ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! おばあちゃん子だった人、ハートウォーミングな漫画が好きな人、最近疲れてて癒されたい人、ぜひ読んでみて下さい!!
同じビッグコミック系列で似たような作品を挙げるならば『夕焼けの詩 三丁目の夕日』だろう。
ノスタルジーの中にハートフルな物語を時にファンタジーも交えて届けてくれる。読む度に、心の体温計は少しだけ上がり、自然と優しい気持ちになる。
『利平さんとこのおばあちゃん』もノスタルジーである。しかし、そのバックグラウンドは異なる。
『三丁目の夕日』が高度成長期の街が舞台であるのに対し、こちらは地方の田舎である。しかも主人公は夫に先立たれた老婆。いわばその時代に削ぎ落とされたものたちの物語だ。
老婆に悲壮感はない。むしろ生き生きとしている。それがまた、このバックグラウンドとあいまって読む者に悲哀をもたらす。いかなストーリーを紡ごうとも、根底にある暗さは拭えないからである。
しかし、だからこそ、そのノスタルジーが響くのである。そのハートフルが胸を打つのである。
利平さんとこのおばあちゃんは人が人として生きるための基本的な感情を偽ることなく教えてくれる。
40年前の漫画だが、今の人々にこそ、その教えを伝えてほしい。