この著者の漫画を初めて読んだのがたぶんオッス!トン子ちゃんだったと思うので、まずそことのギャップに驚いたのと、漫画ってどんなふうに描いても良いんだと激しく感銘を受けた記憶があります。いい意味で既成概念を崩してくれました。
とくに舞台である京都の情景の描き方が美しく、決して写実的とかそういうことではないんですが本能的に「ここへ行きたい」と思わせる引力があります。
そして実際に、とくにフットワークが軽いわけでもない私を京都の鞍馬寺まで行かせた漫画です。聖地巡礼というやつですね。
これがデビュー作?かどうかはよく知らないですけど、学生の時に描いたものが賞をとって連載化したらしく、そんな若い時にこういう作品を生み出したという事実がもうとんでもないことだなと読む度思います。
日常と非日常、夢と現実。双方の世界を行き来する少年のゆらめきときらめきが京都の街を背景に鮮やかに紡ぎだされる