村の因習に巻き込まれるサスペンス
再開発に失敗した離島に赴任した若い医師が村の因習に巻き込まれるサスペンスです。「武富健治実話作品集 狐筋の一族」を読んでから、武富健治先生は容赦なく恐ろしい絵を描かれる人という信頼があります。村の因習モノってだけでも確実に面白いのに、タイトルに「残虐」が付くなんて最高にヤバいです。全2巻とは思えない内容の濃さなので、期待値を上げて読んでもガッカリしないことを保証します。ぜひネタバレをしないで読んで欲しいので詳細は避けますが、どんな残虐なシーンよりもクライマックスのキスシーンが頭から離れません。読んだ人にはこの気持ちを分かってもらえるはず…。
ネタバレがあるので注意ですがある程度知ってても十分楽しめると思います。
タイトルにある"惨殺"が始まるまでにちょっと時間がかかるけど(1巻の時点では殆どない)、2巻で村長が観覧車で×××てからの畳み掛けがすごい。
こういう、人がたくさん死ぬ漫画はどんな死に方をしてくれるかどうかが結構大事で、そういう意味では丹沢先生の最期は本当にいい。あんな状態でめちゃくちゃ長いセリフをダラダラ吐いてるのも含めいいです。ギャグとホラーは紙一重ってこういうこと!と改めて思います。
ヤバい村を描いた漫画のなかでもトップクラスにいい漫画なんじゃないだろうか。ただしグロ注意。
終わり方も良かった。
全体を見れば死にものぐるいで脱出して、大事な人と再会できて、ほんの少しでも明るい未来が想像できる、気持ちのいいラスト…のはずなのに、細かいところでモヤッというか、イラッというか、いつもは心の奥にしまってるツッコミ魂が呼び覚まされるような気持ちにさせてくれるのが武富漫画なのかな。もちろんそれ含めてこの作品なので、文句じゃありません。
作中でもあとがきの座談会でも続編をほのめかしているのでいつか描いてくれると信じてます。