ソ連の宇宙犬「ライカ」の復讐劇
これを読む前に、ソ連の宇宙船に実験のため乗船させられ、命を落とした「宇宙犬」がいたという事実を知っておく必要がある。 それを元にSF要素を取り入れてアレンジしたと思われる衝撃作。宇宙のとある星で生きている元宇宙犬のライカが(繁殖に成功し、地球を知らない犬たちもたくさん暮らしている)人間どもに復讐してやるど!今に見ておけな!!と意気込む様子が可愛らしいタッチで描かれております。可愛すぎる…
不条理に抗って生きる、すべての者へ捧げるレクイエム。1957年のソ連の実験によって、スプートニク2号に乗せられ、宇宙に放たれた犬・ライカ。彼女は冷たい暗闇の中でその命を失うも、突如現れた神から新しい体を与えられる。人間への復讐に燃える彼女は、種を増やし、文明をつくり、凄まじいほどの軍事力まで手に入れた。数年後、ライカは仲間の犬を引き連れ、母星・地球にむけて出発する。自分を追いやった人類を滅ぼし、再び故郷で暮らすために――。「生と死」、「愛と憎しみ」など、心を抉るテーマに果敢に挑んできた吉田真百合のデビュー作。ポップで親しみやすい絵柄と、心の奥底にある欲望を描いた内容とのバランスが癖になる、唯一無二のピュアでダークネスなコミック!表題作に加え、掲載時反響の大きかった「愛の焦土」など3本の読切も収録した、豪華特厚224P!!
表題作の「ライカの星」と読切3作を掲載した、ほぼほぼ短編集。
主に犬が主人公か、重要な役割を担う話がほとんど。そのため作者はよく犬好きだと思われるらしいが、犬好きらしい。紙版のカバーを見てもらえればわかるとおり非常に美しい装丁。読む用と保存用に分けたいくらい。
内容は正直、読んでくれぃ…と言いたい。
なんの予備知識なく装丁の美しさだけで手にとったひとは、ところどころで「ぬっ」と顔を出す狂気にびっくりするかもしれない。しかしその物語それぞれにモチーフとなる題材や作者の経験などがあり、しっかりとした土台があって漫画になっていることがあとがき等でわかるので、べつにふざけてるわけじゃないんだな…と納得する。
なんとなく例を出すなら「無敵の未来大作戦」(黒崎冬子)のおふざけ感と「今日の漫画」(史群アル仙)の悲壮感をそれぞれ大さじ3くらいすくって混ぜた感じ。自分で書いておいて適切とは思えない例え方ですけど、でも何となくそう感じたんですよね。