マスクが"常識"となった世界の少年少女の物語 #1巻応援
この作品の舞台は"ある感染症"のパンデミックにより、人前でマスクをすることが常識であり文化となった世界。 そんな新しい価値観が広まった世界における思春期の少年少女を描く作品です 「マスクの着用が普通になる」という、現実に近い設定の作品のように視えるのですが、この作品が現実と大きく異なるのは、公共の場でマスクをすることが感染症対策という目的を越えた"常識"となっていること。 つまりマスクはほとんど衣服と同様の扱いになっていて、「マスクをしない時代」を知らない思春期の少年少女にとってはマスクの下の鼻や口を見られることは"恥ずかしいこと"なのです。 ただ、衣服と違ってマスクは食事のときなどには外す動作が必要なため、日常生活の中でマスクの下を見られる隙が生じるということ。 この作品では「マスクを外した状態の顔を見られる」という私達にとっては普通の出来事が、登場人物にとって極めて衝撃的でビビッドな瞬間として描かれています。 この作品は"マスクが常識となった世界"という設定で現代の情勢をSF的に組み込みつつ、その中で生きる思春期の少年少女を瑞々しく描いている、設定の新しさと思春期という普遍的なテーマの両方を兼ね備えた作品です。 1巻まで読了
きっとこれ、1巻が出たらもっと話題になる漫画じゃないかと思います。
ウイルス感染症から人類を守るために大きな防疫壁が建てられ、マスクの着用が義務化された世界。生まれたときからそうだった子どもたちは、友人がマスクを取った顔を知りません。
そんな環境のため、隠しているところ=見せたくないところ、という意味で「口を人に見せることはいやらしい」ことのような認識が広がっています。
ある日、主人公の奏はクラスメイト・夏木さんのマスク無しの顔をたまたま目撃します。たったそれだけのことなのに、見てはいけないものを見てしまったような背徳感を感じる不思議。とくに「何かを食べている姿」にとてつもないエロスがあるらしく、ある意味では窮屈な世界です。
そんななか少しづつ距離を縮めながら、マスクを外してピクニックをする仲になったふたりですが、さっそくマスクを外して会っているところを目撃されたり、さらに街では不穏な動きがあり…というところまでが4話です。