「今の世界は、だいぶ窮屈だ。だから、こんな場所があってもいい」――隔離生活を終え、未だ受け入れられずにいた”現実”と向き合う秦。他方、似たもの同士である望月愛里の誘いに惹かれた夏木はそれと知らずに危険な集会へと足を踏み入れてしまう。追憶のサロン、反マスク団体、そして壁の向こうからの使者――。彼らの「日常」は、引き返せない「非日常」の領域へと突入する……!! 【※この作品は話売り「ニューノーマル」の単行本版です】【収録内容】「ニューノーマル」第15話~第21話「ニューノーマル」第19.5話 (単行本新規描き下ろし 8ページ)
この作品の舞台は"ある感染症"のパンデミックにより、人前でマスクをすることが常識であり文化となった世界。 そんな新しい価値観が広まった世界における思春期の少年少女を描く作品です 「マスクの着用が普通になる」という、現実に近い設定の作品のように視えるのですが、この作品が現実と大きく異なるのは、公共の場でマスクをすることが感染症対策という目的を越えた"常識"となっていること。 つまりマスクはほとんど衣服と同様の扱いになっていて、「マスクをしない時代」を知らない思春期の少年少女にとってはマスクの下の鼻や口を見られることは"恥ずかしいこと"なのです。 ただ、衣服と違ってマスクは食事のときなどには外す動作が必要なため、日常生活の中でマスクの下を見られる隙が生じるということ。 この作品では「マスクを外した状態の顔を見られる」という私達にとっては普通の出来事が、登場人物にとって極めて衝撃的でビビッドな瞬間として描かれています。 この作品は"マスクが常識となった世界"という設定で現代の情勢をSF的に組み込みつつ、その中で生きる思春期の少年少女を瑞々しく描いている、設定の新しさと思春期という普遍的なテーマの両方を兼ね備えた作品です。 1巻まで読了