心も美しくなる女性刑務所の美容室のお話
『ぼくの忘れ物』、『アルティストは花を踏まない』の小日向まるこさんの新作。本作は、桜井美奈さんの小説をコミカライズしたものとなっています。 原作は未読なのですが、女子刑務所内で受刑者が美容師を務める美容室という題材の非日常感で興味深く読めました。受刑者との雑談は禁止であるためお客さんは横につく刑務官としか話してはいけない(でもそれは受刑者を守るためでもある)、900円という料金の安さなどなど初めて知ることが多々ありました。 ただ、何と言ってもこの作品の魅力は人間の繊細な心の機微です。これまでの作品でもそうでしたが、小日向まるこさんは写実的でありながら優しい絵柄があいまって心の奥深くにまで沁みる空気感を醸成してくれます。 本作も、悲しい瞳が印象的な受刑者で美容師の葉留(はる)から発される嫋やかな言葉が、雑多な日々にささくれた心を穏やかに慰撫してくれるようです。 また、刑務官の菅井さんや78歳のお客さん・鈴木さんなど、歳を重ねた登場人物たちのエピソードは絶妙で巧いです。とりわけ、鈴木さんのお話では「生きる」ということそのものを感じさせられ、今後高齢化がますます進行する社会にあって大切なものを描いていると思いました。読む人の年齢によってさまざまな心情を寄せながら読める作品でしょう。 残念なことに短期集中連載のため全1巻なのですが、もっとずっと読んでいたい魅力に溢れていました。 幸いにもTwitterでご本人による1話試し読みが広く拡散され、多くの人が知るところとなりましたが、SNSなど使ったことのないような方、普段マンガを読まないであろう方にもお薦めしたい、優れた作品です。
と、読んでる最中に思ったけど、受刑者は刑期を終えれば外に出るんだということに気づく。刑務所も更生させてから外に出すために色々やっているんだなと学べました。受刑者との雑談は禁止だけど、それぞれが小松原さんとの会話を通して考えが変わったり前向きになったりしていました。刑務官・菅生さんのTHE・おばさんな振る舞いも良かったです。
小松原さんと家族の関係はものすごくグッと来ました。あんな最高のハッピーエンドないですよ。でもそれ以上に感動したのはひとり暮らしのおばあさん・鈴木さんの変貌!なんでパンクロックに目覚めちゃったのかわかりませんがw
そういえば最近青空を見上げるとかしてなかったなーと。たまには無意味に見上げてみるのもありかと思いました。