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ガラスの箱庭

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前回の読切『アキレア降る世界』に引き続きちょっと変わった少年少女たちのボーイ・ミーツ・ガールで、とても救いのあるお話でした。

両親が離婚し母と暮らしている少女・かすみと、ロリータファッションブランド「ネオンドワーフレインボー」を手掛ける有名デザイナーを母に持つ先輩。
ある日、バスの中でかすみが「ネオン」の古いムック本を読んでいたのを見た先輩は、ある条件と引き換えに「ネオン」のアイテムを譲ると言う。
その条件とは週に一度「ネオン」のファッションに身を包み、先輩の話をただ聞くこと。
ロリータ姿になったかすみは先輩が持つ人形にそっくりで、先輩はかすみのことを「ヨウコさん」と呼び、嬉しそうに他愛のないことを語りかける…というあらすじ。

先輩は母に顧みられず、置き去りにされ放って置かれている。
かすみは両親の愛情を受けて育つも、父が他の女の元へ去っていった(その後の父との関係は意外と悪くない)。

短い読み切りながら、かすみと先輩の平坦でない生い立ちがしっかりと描かれている。だからこそ、最後に2人がただ取引するだけの間柄でない、友人のような血の通った温かい会話を交わしてくれてなんだかホッとした。

相澤先生の優しい線で描かれるロリータアイテムがとても素敵なので、ぜひ読んでみてほしいです。(いずれ単行本化してくれ〜〜!!)

【余談】
父が言う「最近の子ってシンプルなものが好きだよね」という妙にリアルなセリフが好き。
本編と全然関係なく「いや本当にそうだよなぁ」と、深く頷いてしまいました。
ガラケーに無駄にじゃらじゃらストラップ付けまくり、可愛い子は髪を染めてるのが当たり前時代に女子高生だった身としては、今の10代の子たちの落ち着きぶりには驚かされます。

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変わって失われたものと変わらなかったものの2つは別の世界で存在してると言う世界観がとても好きです。

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