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ソラモリ

飛ぶことと、守ることと

ソラモリ 村上もとか 千葉きよかず
名無し

かつて大ヒットした映画「トップガン」 迫力有る戦闘機の空中戦映像などに 主人公の成長譚がミックスされている名作。 だが映画公開当時に見てから、ずっと疑問に 思っていることはある。 米軍がソ連軍の戦闘機をアッサリと撃墜。 それでいいの?と思った。 娯楽映画なのだから、ヤボな感想だったかもしれないが。 「ソラモリ」もまた、主人公は戦闘機乗りに憧れて 自衛隊学校に入校し、努力し成長して行く話だが、 トップガンとは似て異なり、トップガンに感じた疑問点を 色々な角度から再検討させてくれる内容だった。 主人公は戦闘機乗りになりたい、 早く、速く、長く戦闘機に乗りたい、と 高校卒業と同時に空自の航空学生となる。 出世欲は皆無。 国防意識は、ある意味で普通。 だが祖父が元・特攻隊員。 父はそんな祖父に複雑な思いを抱いている。 母は自衛隊を軍隊と思い、危険な仕事と思っている。 そして主人公は航空学校から自衛隊へと 進んでいくなかで 家族以外にも色々な人との出会いや経験をして、 考え方も変わっていく。 空を飛ぶことの大変さや意義や責任を深く学び、 単なる憧れとしての「飛びたい」では無くなっていく。 国防として空を飛ぶ自衛隊を描きながら、 国防・防空についてを漫画で描きながら、 これは単なる自衛隊肯定でもなければ戦争批判でもなく 絵空事ではない話だと意識させてくる漫画だ。

COBRA THE SPACE PIRATE

夢と呼ぶにはあまりに厳しく余りに哀しい影に向かってのオデッセイ

COBRA THE SPACE PIRATE
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ)
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ)

著者のライフワークなので一言で括れない幅がある作品で、私は 1.手塚治虫的なタッチが残り奇想展開なアイディアの楽しい「少年ジャンプ初期」(「コブラ復活」~「ラグボール」) 2.線がややソリッドになりシニカルな描写の増えた「少年ジャンプ中期」(「二人の軍曹」~「黄金の扉」) 3.ヒロイックな描写の光る「少年ジャンプ後期」(「神の瞳」~「リターンコブラ」) 4.「聖なる騎士伝説」 5.CGフルカラー期 で分けている。どの期間も見るべき所のある漫画であるが、4.の「聖なる騎士伝説」について書きたい。  「聖なる騎士伝説」は青年誌に掲載された長編で他の話より暗く、いつもよりシリアスでアダルトな展開や描写が多い異色のエピソード(何てったって、レディーさえ出てこない) だ。ここでは新世界の興奮は悪鬼に蹂躙され、コブラのいつもの剽軽な態度やヒロイックな勇気は鳴りを潜め、笑みは嘗て見られなかった暗い影を忍ばせている。絵の線もどの辺よりも細く、陰影もまた濃く、混沌とした悪意蔓延る世界をこれでもかと描き出す。筋も宝や冒険ではなく悪鬼の暗殺と言う剣呑な代物で、終盤に明かされる種も周到に張られた伏線もあり陰惨な世界観を補強する。  今までのスペースオペラと比べると余りにもノワールであり、退廃的でもあるが、それだけに強烈であり、私はこのエピソードが一番好きだ。けだし、このノワールが単なる露悪に終わらず、コブラが常に世を儚むようなニヒルな皮肉を呟きながら銃をぶっ放しながらもどこか善や正義を諦めきれていないからではないかと思う。有名なコマでもある様にコブラは終盤、実際には何の利益を齎さなかった教会を批判し「神か……最初に罪を考え出したつまらん男さ」と呟いてみせたが、これはやはり神や正義についてどこか夢を持っている証拠に他ならないと思う。さもなくばこんなセリフは決して言わないだろう。  コブラの海賊としてのアウトローな性格や享楽主義は上記の理想主義的な思想やストイックさに支えられている。寺沢武一は彼の初期作品を「思弁的」と批評していた記憶があるが、そういった性格が彼の作品から消えた事は一度も無かったことは確かだろう、そしてそれこそがこの漫画をいつまでも輝かせているのだろう。海賊と言う自由とギルドに対抗する高潔な戦士の顔を持つあの男のとこしえの旅に祝福を。

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