題材はゲスいが謎にエモい
およそ、男が集まって酒飲みながら話すようなシモい内容なんだけど、どこかエモいから不思議な作品。 やれたかも ということで 実際やっていない(やれなかった) という点が、ピュアに感じる点なのかもしれない。 大人の関係にならず、少年時代の初恋に近しい印象をうける。 また、ただのエピソードの紹介だけでなく、「やれた」か「やれたとは言えない」の評価をしてくれるのも面白い。 3人の審査員で、「やれた」と全肯定する人もいれば、「やれたとは言えない」を出して全否定する女性もいる。 そして、この女性が的確すぎて現実に戻されるのも一興です。 なにはともわれ、 やれなくても、その妄想だけで楽しめるのが男なんすよね。 その妄想がつまった1冊です。 まったくもって追体験できるようなものが、私の過去にはありませんが。
やらない後悔よりやる後悔みたいな言葉がありますが、やらない後悔も悪くないかもと思いました。
やれたかもしれないという思い出を持つ人物の独白を聞き、やれたかも委員会が「やれた」か「やれたとは言えない」かを審査するお話。
ゲスいお話がはじまるのかと思いきや、独白は甘くてほろ苦くて、まるで初恋の記憶のよう。
絶対やれたらたぶん忘れちゃう。
絶対やれないならたぶん忘れたい。
でも「やれたかも」にはどことなく甘い響きがあって忘れられない。
遠足の前の日にわくわくしながらお菓子を買いに行く瞬間って、遠足当日よりも楽しい。
やれるかもしれないとドキドキしながら、こっそり手を繋いだりカラオケでキスしたり飲み会抜け出したりするのも、遠足の前の日と同じだ。
いちばん楽しいし、いちばんエロい。
「やれたかも」それはすなわちお菓子の詰まったリュック。
遠足に持って行ったら友達と分け合って一瞬でなくなっちゃうけど、家にあってたまにひと口かじるだけならなかなか無くならない。ある意味長く楽しめてしまう。ああなんて罪深い。
恋は甘くて苦いって
忘れられない香りばかりって某国民的アイドルグループが言ってたけど
「やれたかも」も一緒なんだな。某国民的アイドルグループだったら間違いなくやれるんだろうな。
やるよりエロくてエモい、やれたかも。
読んだら似たような思い出が蘇って「ああ〜」ってなります。でも、悪くない「ああ〜」だと思います。たぶん。