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『だがしかし』は基本的にはコメディマンガです。ココノツくんとトウくんのしょうもないやり取りにケラケラ笑って、ほたるさんやサヤ師のかわいさに頬を緩ませる。そんなカラッとしたマンガの中で異質な「湿度」を持っているのが尾張ハジメというキャラクターです。
ハジメさんは「空っぽ」な状態でシカダ駄菓子にやってきます。本編中でもその理由は謎めいていました。さまざまな技能やすぐれた才覚を持っていながら、彼女の姿はどこか空虚に映ります。
本作には彼女が「これしかない」と思っていたものを失い、空っぽになってしまう過程が、残酷でありながらも愛あふれる形で描かれています。
作者のコトヤマ先生は『だがしなど』のなかで、ハジメさんについて「描きやすくて一番手癖が強いキャラクター」だと語っていました。ぶっちゃけ本編読んでる頃から「せやろな」という感じなのですが、本作読後はそのことばにもなんだかズンとくるものが加わります。
そんなこともあって個人的な印象ですが、ココノツくん達とは少しベクトルの違う思いがハジメさんには込められている気がします。本作の最後に用意された一幕は、コトヤマ先生からハジメさんへの粋なプレゼントだったのだと思います。
作者に愛されているキャラクターの姿を見れるというのは何よりも幸せなことですね。
長々と書いてしまいましたけど、とにかくハジメさんファンで読んでない人が万が一居るのであれば一刻も早く『だがしなど』を買って!!!という気持ちです。きっともっとハジメさんのことが好きになるから…。
これは、シカダ駄菓子に現れる前の・・・「尾張ハジメ」の知られざる過去─────(週刊少年サンデー 2019年4・5合併号/2018年12月26日発売)