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こういうのから解放されるのっていつなんだろうか。
はやく狂ってしまいたくて、新しい世界を開いてしまいたくて、アブノーマルに傾倒していく気持ちは正直わかる。溺れることで自分の精度が高まっていくような気がするのだ。
でも振り切れてるひとなんて滅多にいない。乳首にピアスを開けて女装AVに出てそらに見られながらワカマツとセックスをしたところでユウキは振り切れていない。側から見たら狂っている部類のひとかもしれないけど、ユウキは結局そっち側に行けない人間だ。おそらくそらも。
だからこそユウキはそらに見たいものを押しつけ、そらはワカマツに見たいものを押しつけ、都合よく崇拝するみたいに恋をしたんだろう。
あの人のようになりたい、あの人に受け入れられたい。それが実際のあの人とは違うものだったとしても。
自分の見たいものだけを見て、恋い焦がれることは間違っているのだろうか?
ずっと、狂って振り切れて突き抜けてしまえば楽になれるんじゃないかって思っていた。
私は、おそらく多くのひとは、ユウキのところにすら届かない。狂えないことに気がついて、溺れるのを諦めて、うまく泳ぐしかない。
狂おしい日々に若気の至りとか青春とか名前をつけて忘れる日を待っている。
でも、忘れる日なんてくるんだろうか?
そんな日々のことを「僕は今からでも輝けるのだろうか?」なんて眩しく思っているうちはきっと忘れることなんてできないんだろうな。
狂えないまま大人にもなりきれないひとに読んでほしい。
「君,乳首にピアスあいてるんだ」刺激を求めて女装AVに出演した,大学生ユウキ。彼の平凡で楽しい人生は,美人ピアノ講師・そら先生との出会をきっかけに,少しずつ変化していく。
「君,乳首にピアスあいてるんだ」刺激を求めて女装AVに出演した,大学生ユウキ。彼の平凡で楽しい人生は,美人ピアノ講師・そら先生との出会をきっかけに,少しずつ変化していく。