ジュニオール灰谷音屋先生の全3回にわたる新連載。10年前、渡米を目前に控えたベテラン王者・真山は、駆け上がってきた若き天才・手嶋と対戦し敗北。2人は再戦を約束するも、手嶋は路上で凶刃に倒れ夭逝。真山も敗北を受けてアメリカ行きの話が消え、表舞台から引退した。
そして現在、真山は喫茶店で記者から手嶋健壱について取材を受け、あの試合について振り返るが、自分が退いた後の総合格闘技界では新たな動きがあって…というあらすじ。

いまここに居ない人間について、周囲の人間の証言で振り返るドキュメンタリー風の語り方がとにかくめちゃくちゃエモい…。

https://i.imgur.com/NSGlUTK.png

   (『Jinx』灰谷音屋 第1話)

昔を思い出して語るシーンは静かな喪失感があって落ち着いてるんだけど、試合シーンは格闘技ならではの迫力があってその対比がすごく好き。

そして真山と手嶋の、たった一度しか拳を交えていないにも関わらず、お互いについて「三度の飯より人を殴るのが好きな病人」、「初めて見つけた俺と同じ趣味の持ち主」と評し通じ合う関係性がホント良い…。

最後に登場した現在の格闘技界を担う若手選手に真山がどう絡んでいくのか…続きが楽しみ。

週刊少年チャンピオン 2019年No.47】

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体験指導で真山が内心蔑むレベルの腑抜けたパンチを繰り出した栄。けど一方で寝技には強い学習意欲を示し、スパーリングで喜びに震え襲いかかる…。

栄もまた手嶋や真山と同じ『病人』…!!
しかも打撃は日頃慣れてるからか練習もほどほどで、専門技術を学ぼうと寝技は積極的に学びに行くってのがあからさまでいい。

最終回の第3話。栄にとっての真山は、初めて出会った同じ病気を抱える人間で、真山にとっての手嶋と一緒なんだよな。

クリーンに生まれ変わった格闘技界に、暴力大好きな病人2人が乗り込んでいく…という、先を想起させるいい終わり方だった。ぜひこの読切を基に連載化してほしい…!

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