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裁判員制度導入が話題になったころ、それを題材に扱っていたために興味をもった作品です。まずは、まだ制度としてスタートする前に漫画でシミュレーションするという試みに、相当下調べをしたのだろうなと感心。そして読み進めて感嘆したのが、決して多いとはいえないページ数で、よくこれだけ多くの登場人物の人間模様を入れ込んだものだ、ということ。簡単な絵にも関わらず、性格がにじみ出てくる人物描写が巧いですね。人任せの男や苦悩する弁護士、悪辣な隣人、揺れまくる主人公と強い意志を持ったヒロイン…、市民が参加する裁判の裏側で絡み合う人々の様々な思惑がよくわかる密度の濃い内容です。作中に登場する地獄図の説明コラムを見て著者が伊勢出身ということに気付いたのですが、この地獄図もイメージとして世界観によくマッチしていると思います。