「銀の匙」の原体験的な作品
『銀の匙』の著者であり、『銀の匙』→本作という流れで読んだ身としては、漫画がリアルになった感じです。 『銀の匙』のエピソードって一部脚色ありのフィクションかな?程度で読んでいたのですが、どっこい、本作を読むとリアルのほうがもっとキツイ&生々しいのにたまげました。 あ、あの話マジなんだ と、謎の説得力が増す。 そんな副読本として読んでも面白い作品でした。 農業、畜産の過酷さ。 特に、家畜を動物ではなく食料としてとらえて処理していく姿は、そんな感情はエゴだとわかっていても、胸にクルものがある。 時に面白おかしく、あっさりと書いているけど、だからこそ、読んでいて行間に残るものがある。 ただ切々滔々と農業の過酷さやエグさを語られるよりも、よっぽど残る。 普段の食卓にのる食材はすべて、農家の方々のおかげなんだとあらためて感謝したくなる、そんな本でした。 読みやすいし、小さい子供の食育にもいいんじゃないか?と思いました。
大学は農学部、田舎育ちで母方の実家は牛を飼っていたり、近所には東京農大もある…と、私にとって懐かしくなじみ深い話題がたっぷり。この漫画、ネタっぽく受け取られるかもしれません。ですがこれ本当(たぶん)。ウチのほうじゃ、鳥のつついたみかんは甘いってんで農作業の合間に食っていましたし、冷凍庫開けたらつぶした子豚がこっち向いて入ってたこともありました。豚の去勢シーンも、やったことあるからこそ自主規制に納得。私はすでに農業と離れているのでクスッと笑えるという感覚でしたが、身近に農業を感じている人は、半端なく共感してしまうはずです。そして農業に縁のない人には、農家がいかに大切かがわかり…って話ではないのですが、小豆がなくなると郷土銘菓・赤福が食べられなくなると知り、無条件で農業を応援したくなりました。ビバ農業と言っておこう。