激レア設定(ノンフィクション)家族のリアルな愛惜
父母姉妹全員が漫画家。 父・大島やすいち、母・川島れいこ、 長女(本作の作者)大島永遠、次女・三島弥生。 その長女が描く実録家族漫画。 もしかしたら世界中でもこの一家だけかもしれない 家族全員が漫画家の一家という漫画家家族(ややこしいな) という激レア設定。 しかもノンフィクション。 私は大島やすいち先生といえば「おやこ刑事」の先生、という イメージはありました。すみませんが他の先生の作品は 読んだことがありませんでした。 けれどあの大島先生の家族がそろって漫画家になっていて、 その実態を漫画化していると聞いて、凄く興味をもって読みました。 読む前の推測では、漫画家って忙しくて人気商売で とにかく大変だろうな、 その家族って、まさに修羅の家みたいな普通じゃない家族生活を 過ごしてきたりしたんだろうな、と思いながら読みました。 その推測はあたってもいたけれど、それ以上に予想外の世界でした。 確かに父が多忙で母子と普通のコミュニケーションが とれていなかったとか、 修羅なエピソードもありましたけれど、それよりも 母が仕事を手伝う娘(小五)に乳首の描き方を指定するとか、 予想外の修羅な家族エピソードに意識を成層圏まで飛ばされました。 それでいて、家族ができる前の大島先生と川島先生の 馴れ初めなんて、いかにも漫画家カップルの出会い成立の なにそれその面白展開、という話にちょっと萌えたり(笑)。 結局、普通の家族の話ではないんですよね。 確かに世界に一つあるかないかの 家族全員漫画家というレアケースの話。 なので、普通の家庭の話と比較してもしょうがない話で うわ、こんな家族でも成立するんだ、と驚くしかないのですが、 それでいて垣間見える家族愛が、 そんな状況でも存在し成立するということで より深いものなのかもと考えさせられました。 漫画を絆にして成立するという、 一般的ではない家族なのだけれども だからこそ、いい家族なのが判るというか。 それでもやっぱり特殊な例、あくまでも特殊な成功例だとは 思いますけれど。 普通は、大島永遠先生、グレちゃうと思いますね。 こういう家庭環境だったら。 そこでグレずにそれぞれ成功し家族も維持し、 漫画でもヒット作を生む、というのが 漫画家サラブレッドとしての才能なのかもしれません。 よくわからんけれど。 特殊でレアなケースで、参考にはしようがないのだけれども、 これも一つの良いファミリー実録漫画なんでしょうね。
タイトル通り、世にも珍しい両親&姉妹の4人全員が漫画家という大島家の、内幕暴露本的なエッセイ漫画。長女・大島永遠の視線で父・大島やすいちや母・川島れいこが描かれていてなかなか新鮮でした。なぜなら私、この両親ふたりともKATANAで取材しており(09年11月3日号から4号連続)、登場するエピソードは聞いていたのですが、頭の中に浮かんだ絵がこの漫画と全く違っていたんですね。おふたりのなれそめ話に出てくる詩人?なんて、こんな優男ふうじゃなくてもろ変質者でしたから。ドラマチックな展開になっていて、漫画にするってこういうことだよな、とちょっと感心しました。ちなみに取材したときはこの漫画で描かれている写真についてのくだりはいっさいなかったですけどね(笑)。まあ、同業の親をもつ娘の気持ち、なんてのをお話にするというのは、少しひねくれた感情論から入るのが常で、この漫画もそう。ですが、いやいや仲良いでしょこの家族は、と思える温かさがそこかしこにある。ちょっとこそばゆいけど、そんな雰囲気のある漫画です。