マウナケア1年以上前編集この作品を読み進めていくうちに、あれっ、と気づくことがあった。それは、昔話を読んでいる、という感覚だ。怪異の原因を普通の人には見えない”蟲”のしわざと捉え、主人公である蟲師のギンコがその謎を解き明かしてゆく、というのがこの作品の筋立てである。舞台は山里であったり漁村であったりさまざまで、時代は江戸か明治といった風情。そこで怪異が起こる。そしてその怪異には理由があり、村人の回想でそれは語られる。子供のころ聞いた、「この山には昔々大グモが住んでいて…、だからこの池はいつも水が枯れないんだよ」といった祖母の話に似ている、と思ったのだ。なんともいえない懐かしさ。この作品にはそんなノスタルジーと、謎解きのカタルシスが同居して、素直に心に響く――。と、書いたところでもうひとつ思ったのが、どうも故郷を思い出す風景描写だな、ということ。私の田舎も夜になると、いまだに人以外の何かが徘徊していてもおかしくないようなところ。帰省の時期でもあるし、いい具合に里心がつきました。0わかるfavoriteわかるreply返信report通報
あらすじこの世はヒト知れぬ生命に溢れている――。動物でも植物でもない、生命の原生体――“蟲”。それらが招く不可思議な現象に触れたとき、ヒトは初めてその幽玄なる存在を知る。蟲とヒトとをつなぐ存在――それが“蟲師”たる者。アフタヌーン・シーズン増刊から生まれ、アフタヌーン本誌の大人気作ともなった作品、待望の単行本第1集。続きを読む
この作品を読み進めていくうちに、あれっ、と気づくことがあった。それは、昔話を読んでいる、という感覚だ。怪異の原因を普通の人には見えない”蟲”のしわざと捉え、主人公である蟲師のギンコがその謎を解き明かしてゆく、というのがこの作品の筋立てである。舞台は山里であったり漁村であったりさまざまで、時代は江戸か明治といった風情。そこで怪異が起こる。そしてその怪異には理由があり、村人の回想でそれは語られる。子供のころ聞いた、「この山には昔々大グモが住んでいて…、だからこの池はいつも水が枯れないんだよ」といった祖母の話に似ている、と思ったのだ。なんともいえない懐かしさ。この作品にはそんなノスタルジーと、謎解きのカタルシスが同居して、素直に心に響く――。と、書いたところでもうひとつ思ったのが、どうも故郷を思い出す風景描写だな、ということ。私の田舎も夜になると、いまだに人以外の何かが徘徊していてもおかしくないようなところ。帰省の時期でもあるし、いい具合に里心がつきました。